第22話 一つ目の星
ㅤまず最初にワープなどを駆使して辿り着いた星は水であふれる星だった。
というか、水しかなかった。外から見ると透明な星、というか説明が難しい。
ㅤこんなところに人がいるのかなと思ったけど、宇宙船で飛び込んだ。
すると本当に空はどこにあったんだという具合に、水中へ飛び込んだ。
ㅤ若干慣れない環境で、船を動かす。すると、人がいた。この星に順応するための宇宙服だろうか。
ㅤスキューバダイビングのようだが、地上に戻れるわけじゃない。おそらくこの水中でずっと暮らしているんだ。
「すいません、お話聞いてもよろしいでしょうか」
「何」
「ここに、ええと」
ㅤあれ、どう尋ねたらいいんだろう。星の人はいませんか?ㅤなんて聞いても意味不明だよな。本人じゃないと。
「手紙を書くのが好きな人とかいませんか」
「手紙? ㅤたぶんそんな人はここにはいないよ。ここは外と関わらず自由にゆったり暮らしたい人が多いのだ。魚が違う世界のものと仲良くなったりするかい?ㅤ魚じゃないからわからんけどさ」
ㅤそんなふうに返されてしまった。ワタシはとっさに「ごめんなさい」と謝った。
ㅤだけどこれだけでこの星を去るわけにもいかないから、
「星の人っていう人を探してるんです。その人はワタシにいくつか手紙をくれたんですけど、たぶん違う星にいる方なんです」
ㅤそう言ったけど、
「やっぱり知らないよ。たぶんここにはいない。人魚が地上の王子様に憧れることはあっても、現実で文通してるようなやつはいないって。じゃあな」
ㅤわりとそっけなく、その場から泳いで去ってしまった。この星にはきっと本当にいなさそうだ。自由気ままでいたい人たちが集まってるんだ。
ㅤたった一人に会っただけだけど、優しいとか冷たいとかじゃなく、ここに生きてるという感じがした。
ㅤだから誰に会っても、ワタシは外の人で、ワタシに興味ある人はいないんだろうなと思った。
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