第4話 またクビか…
私が契約を取った会社はみな業績を伸ばして好調である、リース契約台数も毎月新規開拓をせずとも増えていく。会社の業績も順調そのものであり、賞与も当初聞いていた額の倍をいただいている。家族も喜んでいた、自宅のローンも前倒しで少し返済期日を繰り上げることもできた。子供の受験資金に充分な貯金もできた。バラ色とはこんな状況だと浮かれていたのだが、最近のニュースが気にかかっている、失業者が非常に増えているのである。我々のロボットリース事業によって仕事を奪われ働く場所が減少していることが要因との論説もいろんな週刊誌やネットサイトをにぎわしている。
私が悪者側にいるようで少し気がとがめたが職業選択の自由である。あのときの転職がうまくいったのだから…。
順調に成績をあげていたタイミングで上司に呼び出された、昇進だろうかと喜び勇んで応接室をノックすると、部長と人事課長が着席して私を待っていた。転勤して念願の支店長への内示かと表情が緩んでしまったのだが話はまったく違った「メンテナンスセンター行けるか?」「……」「返事は今すぐでなくてもいい、だが今の部署に残ることはできない」「……」「営業部はなくなるんだ」「……全員ですか?」なんとか聞き返した。部長は「そうなんだ。受注は個別に対応はしない。新規の場合お客様にこちらのセンターに来社いただいて契約してもらう。対応はすべてロボットが行う…」「部長もなんですか?」部長は首をすこし振って「いや、私は来月いっぱいで契約終了だ。そりゃそうだ、君たちの管理業務がなくなる。ロボットのことも詳しくないのだから…」人事課長から「異動後の給与条件はこうなります。ご家族とも相談していただいて返答ください。よくご存知かと思いますが、羽田の近くで24時間対応なので車通勤は必須になりますので。」「わかりました。明日の午前中までお時間ください。ありがとうございました。」条件面の書類を持って部屋をでる。自分の席に戻れる気分ではなかったので、そのまま会社をでて近くのコーヒーショップへ向かう。
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