第10話

「ま、そういうこと」


 ちょーっと、待て。


 オレは思わず、駄女神に手を伸ばす。


 俺の手である魔法少女ユキのグローブがそのオバサンに迫る。


 しかしながら、突き出された杖に阻害されて届かない。


 オレはその杖を奪い取った。


「ヒロ、なにするんだよ!」


 オレのセリフだよ!


 なんでこんなことになっているんだよ!!


 いや、ユキを戦いに巻き込むことがよいとは思わないが、それよりもなんで普通の魔法少女にしなかったんだよ!!!


「いや、その、ヒロのほうが魔力があって、魔法少女に向いてるかな、と……」


 それなら、女体化でいいだろ!!!!


「そんなのは、需要がないし」


 いや、最近のアニメやラノベで多いぞ、女体化。


「アニメはあまり詳しくない」


 それじゃ、なんで魔法少女なんだよ? マッチョなヒーローとか、そういうハリウッド映画的な救世主メシアのほうがよく見かけるモチーフじゃないか?


「需要あるかな、と思って」


 駄女神はふくれっ面。口を尖らせる。


 あー、もうらちがあかない。


「でも、ユキちゃん可愛いよね」


 かわいい、といえば何でも許されるわけないからな。最近じゃ、かわいい、という言葉がセクハラだとされる場合もある。


 でも、ユキの魔法少女姿は……かわいい。


 オレの萌えデザインセンスの勝利、だな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る