第6話
「『今日の昼から入れていた仕事はキャンセル。クライアントからやっとOKが出た』」
……って神さま、仕事って、ユキは何してるんだ? 最近、いつも休みはオレを起こした後、すぐにいなくなっちゃうから、なにかと心配してたんだが。
「バイトだよ。アルバイト」
具体的に何やっているか、知らないんだよな、オレ。
「プライバシーにつき、公表は控えますっ!」
いいから言えよ。どーせ、知らないんだろ。
「はっはっは、もちろん知ってるよ、神さまだから。それじゃユキちゃん、正解のほうをどうぞ!」
「よかった、お兄ちゃんが目の敵にしている顔出しアイドルみたいな仕事が流れて。今日、最初の打ち合わせだったんだ」
まてまてまて。芸能人?
「正確に言えば、モデルだよ。小学生向け雑誌の」
いや、待て。ユキは高校生だろ!
「だからいいの! ユキちゃんは大人しいし、理解も早いし、……子供の役を演じる声優と一緒。撮影現場でも、仕事が早いって評価高いし、だからアイドルの仕事も来るの!」
なんだそれ。俺の知らないところで、アイドルデビューってことか?
「でも、断ったんだよね。オタクのお兄さんのせいで」
どうして、俺のせいになるんだよ?
「ユキちゃん、声優を目指しているの」
もしかしてオレのため……ってまてよ、オイ。
「そうだよ。『お兄ちゃん』が大好きだから、ヒロの大好きな『声優』という仕事を目指しているんだよ」
それなら、なんでモデルだアイドルだ、って話になったんだ?
「ネットで検索したら、モデルの事務所が出てきたの。最近は、声優専門の事務所以外でも声優やっている人、いるよね」
オレは好きではないが……声優はやっぱり声優に限る。
「たまたま公募の条件で今の事務所が目にとまったのだけど、幼すぎる容姿からモデルに」
審査員もロリコンだったわけだ。
「まぁ、たまたま小学生モデルが人手不足だった、というのもあるけどね」
ふぅ~ん。
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