第4話

「警察や自衛隊では相手にならない強大な敵。それをヒロが倒すんだよ。そのために、ヒロは変身するんだ!」


 って、変身アイテム自身が変身するってことか?


 それなら、早く変身させてくれよ。女装だ、女体化だ、そのほうがまだ、動けるだけマシ。


「ちょっと待って」


 それから間を置かず、階段を駆け上る足音が、わずかに開いたドアから飛び込んでくる。


「来た、来た」


 ドアが大きく開き、そこから大きな瞳をたたえた童顔が顔を出す。小学生ばりの低身長の彼女は、間違いなく妹のユキだった。


 白い細身のブラウスのえりから、大きな赤いリボンに小さな胸が隠れる。青と黒のチェックがらミニスカートは彼女のお気に入りだ。黒いニーソックスに細い足が映える。いつも腕にある青いリストバンドは、今日も健在けんざいだった。


 しかし、いつもはポニーテールなのに今日は何故なぜかツインテール。


 魔・法・少・女・だーっ!!


「おかえりー、ユキちゃん」


 神(?)が声をかけるも、シカトかよ。


 お兄ちゃんはユキをそんな妹に育てた覚えはないぞ。


「怒らないでよ。ボクの姿も声も、彼女には聞こえないんだ。もちろん、ヒロの声も」


 つまりユキにとっては誰もいない部屋なのか。

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