第75話 いい仕事してますね~
そこはいつ見ても殺風景な部屋だった。
しかし、それでいて気品を失わない様相は、この屋敷の持ち主であるテルナの品性だと考えていたのだが、どうやらそれは俺の思い違いだったようだ。
というのも、彼女の部屋を見た時に、その悲惨さを目の当たりにして、誤りだったことを思い知ったのだ。
恐らく、この屋敷の品性を支えているのは、ノーパン...... いや、クーナルが頑張りだと思われる。
あっ、そんな事は如何でもいいから、なんでテルナの屋敷に居るかって?
そうだよな。まず、そこから話すべきだな。
とはいっても、全く大したことはない。
そう、アルファルドの言う通り、本当に大したことでは無かったのだ。
ただ、その話をするには少し時間を遡る必要がある。
という訳で、今朝の出来事まで時間を巻き戻すことにしよう。
ラミア蒲焼の晩餐を終えた俺達は、満腹になった所為で、無念にも睡魔との戦いに敗れた。
よって、片付けと風呂を済ませた俺達は、脱出方法を考える事無く眠りに就くことになった。
翌朝、当然ながら小鳥の鳴き声で目を覚ましたりしない。
言わずと知れた地下墓地だからだ。
「ん~~~、朝か~~~~」
俺は時間を確認しつつ身体を伸ばす。
すると、まだまだ寝ていたいキララが、ゴソゴソとニアの懐に潜り込んでいく。
本当に不思議なのだが、何故かキララはニアにだけ異常に懐いているのだ。
そんなキララが芋虫のようにニアの胸元に潜り込む姿を、楽しく思いながら布団から出ると、朝食の用意を始めるべくリビングへと移動する。
「おはようございます」
そうすると、今や毎朝の日課となったナナミの挨拶から始まるのだ。
それまでは、一人で粛々と朝食を作っていたのだが、今は彼女も手伝ってくれることで、以前よりも華やかな空気が漂うようになった。
「おはよう!マックス回復!」
「あう~~~~~、ごシュジンさま~。サイコウですです~」
そう、これがナナミの朝食だ。
物凄く味も素っ気も無い食事風景だが、本人は最高に喜んでいる。
ただ、彼女は感情を全く表情に表さないことから、本当に喜んでいるかどうかは不明だ。
それでも、本人が最高だというのだから、それを素直に受け止めるようにしている。
「さて、朝食を作るぞ」
「ハイです~!ごシュジンさま、テツダイいますです~」
俺の言葉に元気よく返事をすると、メイド服姿のナナミがそそくさと傍にやってくる。
そんな彼女には、米研や野菜の洗浄をして貰っている。
というのも、彼女には味覚が無いらしく、味付け作業がとても苦手だと言うからだ。
それでも、彼女は与えられた仕事を必死に熟すし、とても真面目に働くのだ。
それ故に、どうして海底神殿で他のメイドから蔑まされていたのかが解らない。
だが、それを今考えても仕方がない。
という訳で、俺は肉の味付けをしながら、ここからの脱出方法に思考を移した。
「何処かに抜け道とかないよな~。そんなもんがあったら封印なんて意味をなさないか......」
それは無意識に発した独り言だった。
しかし、ナナミがそれに反応する。
「ごシュジンさま、ドコへモドりたいのです~?」
「ん?あ、すまん。独り言だ」
独り言に反応しているナナミに思わず謝ったのだが、彼女は気にする事無く同じ問いを繰り返してくる。
「ごシュジンさまは、ドコカかへイきたいのです~?」
「ん? もしかして、ナナミには何処かへ移動する手段があるのか?」
彼女の言葉を聞いて、何かの方法があるのでは? と、感じた俺は透かさず問い掛ける。
すると、彼女は頷きながら返事をしてくる。
「シっているバショであれば、モドるミチをツクれるのですです~」
「マジか!」
「はいですです~。マジマジです~~」
こうして彼女は地下墓地の扉に、再びライオンを描いたのは言うまでもない。
オマケに、その後に起こった流れは、言わずとも知れていると思う。
そう、ライオンとサクラは、三度同じ事を遣って退けた。
挙句の果てに、パクリ常習犯のサクラに関しては、扉の向こうがテルナの屋敷と知って、「おお、これって、どこでもド○だよね」と、口にしたのも、もはや仕様と言うしかあるまい。
そんな訳で、俺達はいとも簡単に地下墓地から脱出したのだった。
テルナの屋敷に戻ると、部屋の掃除をしていたメイドが腰を抜かす程に驚いていたが、現れたのが俺達だと知ると、直ぐにクーナルを呼びに行った。
それを見た俺達は、クーナルが遣って来るのをソファーに座って待つことにする。
「王城は大混乱だし、恐らくテルナは居ないでしょうね」
ミイは自分達が荒らした王城の事を考えたのだろう。それ故に、少し申し訳なさそうな表情で述べてくる。
「まあ、どっちでもいいさ。簡単に報告を済ませたら、さっさと出発するし」
「そうだな。次の目的地が最北西にある火山地帯なら、普通に移動すると黙って半年は掛かる距離だからな」
俺がさっさと出発する事を告げると、エルが頷きながら同意してくる。
そう、カオルから聞かされた話では、次の目的地はこの大陸の最北西にある火山だと言うのだ。
それを聞いたミイやエルが驚いていたが、この世界の情報を殆ど持っていない俺としては、彼女達が
そんな話をしていると、ノックの音と共に扉が開く。
「お帰りなさいませ。それにしても、思い切った事をしましたね。そのお蔭でテルナ様は大忙しのようですよ。あとで、散々と愚痴を聞かされるのを覚悟した方が宜しいかと思います」
入るなり、挨拶もそこそこに、クーナルは特に表情を変える事無く、テルナの多忙さについて話してくる。
だが、テルナが城から戻る頃には、俺達はもうこの街には居ないのだ。だから、どれだけ憤慨しようと構わない。
ただ、気になることは、クーナルのいう思いきった事という台詞が気になった。
何故なら、俺達は彼女が言った通りに正面突破しただけなのだから、今更以て彼女が気にする事では無い筈なのだ。
「クーナル、何が思い切った事なんだ?」
こんな事は思い悩むよりも聞いた方が早いので、特に物怖じする事無く問い掛けた。
すると、彼女は首を傾げて聞き返してくる。
「あれ?王族を全て始末したのですよね?あの者達は腐りきっていたので、別に攻め立てる気もございませんが。いえ、良くぞと言いたい程です」
いやいや、こっちこそあれ? と言いたくなるぞ。
もしかして、ナナミの砲撃で死んだのだろうか。
それにしても、王族全員が死ぬなんて、ちょっとおかしな気がする。
「クーナル、王族は何で死んだんだ?」
「えっ?ソウタ様が葬られたのではないのですか?聞くところによると、刺殺されたと聞いてますが」
刺殺された...... そうなると、俺達の所為ではないらしい。
どうやら、勘違いされているようだな。
俺達が殺した事になっていても、全く問題ないというか、気にする事すらないのだが、一応はクーナルに俺達の所業では無い事を伝える。
「そうなのですか!では、あのキョウキという男しか考えられませんね。最悪な人物だと思ってましたが、こういう結末になると、とても役に立つ存在だったと言えますね」
まあ、彼女達から言わせればそうなるのだろう。
俺達に取っては、この国や街がどうなろうと如何でも良い事なのだ。
ただ、気になるのは、キョウキはどんな理由があって王族を始末したのかということだ。だって、普通に考えるなら大切な金蔓と言えるだろう。
それなのに、奴は王族を葬った。その事がどうしても気になってしまう。
しかし、暫くして考えるだけ無意味だと思い、奴の事は脳裏から消すことにした。
どうせ、戦えば倒すしかないし、そうでなければ、関知する必要もない人物だからだ。
という訳で、俺はクーナルに別れの言葉を告げる。
「じゃ、俺達は先を急ぐから、これで!」
「えっ!?もう行かれるのですか?」
「ああ、時間が永遠にある訳じゃないからな」
「でも......」
出立する事を告げると、クーナルがしつこく食い下がってくる。
しかし、その視線はチラチラとダルガン爺さんへと向けらる。
爺さんに視線を向けると、こっちはこっちで落ち着きの無さが目立つ。
「爺さん、ここに残ってもいいぞ。ここならナナミが通路を作れるしな」
「し、しかし、姫様を放置して女に現を抜かすなど、執事のするべき事ではないのですな」
別に恋仲を引き裂くつもりもないし、爺さんが付いて来ても料理の手間が増えるだけなので来なくても平気なのだが、爺さんは本分を全うしたいと告げてくる。
しかし、その表情は非常に思わしくない。
すると、俺の膝の上に座るキララが口を開いた。
「ジイは要らないの。ママがいるから大丈夫なの。だから、ジイは決戦の時までここで待機するの」
「ひ、姫様、それは......」
「うちの言う事が聞けないの?」
「ですが......」
「命令なの」
「命令とあらば仕方ないですな」
キララの言葉に食い下がっていた爺さんだが、命令と聞いて大人しく受け入れることになる。しかし、その表情はとても嬉しそうだ。
更に、それを見ていたクーナルも嬉しそうな表情に変わる。
結局は、キララの優しさで事が丸く収まり、一件落着となったのだが、そんな処でキララがボソリと漏らした。
「ジイが居なくなったから肉の競争率が下がるの。しめしめなの」
それを聞いた俺は、キララがどんどん悪い子に育っているようだと、頭を悩ませることになるのだった。
何だかんだ言っても、結局は女に現を抜かした爺さんをテルナの屋敷に残し、俺達は大陸北西にある火山へと向かった。
まあ、爺さんが減った事で食事の用意が少し楽になったのは有り難い。
ただ、女七人と一匹の中に男が一人でいるのは、それはそれで居心地が悪いとも言える。
「ねえ、ソウタ。あれじゃない?」
「そうなのかな?」
「やっとか......」
その声に答えたのは、俺では無くマルカとエルだ。
サクラに関しては、相も変わらず馬車に設置された亜空間のリビングでゴロゴロしているし、ニアはキララのお守りでやはりリビングの中に居る。
そう、エルが感慨深くというか、嫌気が差したかよのうに述べた通り、リアルア王国を出立して、はや五ヶ月以上経っている。
その間、糞神の使徒に襲われたり、恐竜と戦ったり、糞神の使徒と戦ったり、恐竜に襲われたりと、普通の旅では無かったのは言うまでもないだろう。
それでも、全ての障害を乗り越えてここまで来たのだ。
更に言うなら、俺のレベルが五十一にまであがったが、もはやレベルに何の意味も無くなっているような気がする。
というのも、強敵が来れば宝石合体で戦うしかないからだ。
故に、俺一人のレベルよりは、全員の能力向上の方が大切な要素となっている。
「火山でも使徒が邪魔してくるのかな?」
目的地を肉眼で視認できたことから、大なり小なりモチベーションの上がった面々が、これから向かう火山での話を口にした。
「マルカ、気にする事はないぞ。使徒がきたら妾とソータの合体で軽く粉砕してやるからな」
「はぁ~~?幽霊こわ~いのエルが何言ってるの?」
「ぬぐっ、まだ言ってるのか。ミイはしつこいぞ。しつこい女は嫌われるからな」
マルカの疑問に、エルが強気の発言を返すと、その言葉を聞いたミイがツッコミを入れてくる。
そんあミイに向けて、顔を真っ赤にしたエルが憤慨するが、確かにおしっこちびりそうなくらいに怯えていたよな。
ここ最近はいつもこんな感じで過ごしているのだが、気になるのはカオルの口数が日に日に少なくなっていることだ。
それでも、初めのうちは問い掛ければ反応したのだが、ここ最近は、自分から発言する時以外は全く喋らないし、自発の発言もめっきり少なくなってきた。
『カオル、あの山でいいのか?』
『そうだね』
俺が話し掛けると返事はあるが、全く生気が宿ってないというか、心ここに在らずといった感じだ。
『どうかしたのか?最近少し変だぞ?』
『問題ないよ』
やはり、気の入らない言葉が返ってくる。
という訳で、嫁連中はこの時とばかりに甘えてくるのだ。
「な~、ソータ。そろそろキララも一人で寝られるようになったし、どうだ?」
エルが悩ましい声を発しながら俺の腕に抱き付く。
どうだというのは、間違いなく夜の営みのことを言っているのだろう。
彼女の言う通り、キララの成長は著しく、現在では五歳児くらいまで成長したのだ。
オマケに、元が良いせいか、とても可愛らしい幼女となっている。
「キララが一人で寝られるようなったのは確かだけど、みんなでゴロ寝している部屋でなんて嫌だぞ」
そうなのだ。俺達の寝床と言えば、概ね全員が並んで寝ている状態なのだ。
間違っても、そんな処でエッチなことなんて出来る訳がない。
「そんな~」
俺の返事を聞いてガックリと項垂れるエル。
だが、不思議な事にエッチ大好きなミイが沈黙している。いや、それ処かニマニマといやらしい笑みを浮かべている。
「ミイ、良からぬ事を企んでるんじゃないだろうな」
「な、な、なにも考えてないわよ!?」
俺が冷たい視線を向けると、彼女は慌てた様子で誤魔化しにかかる。
そんなミイを訝しく感じていると、御者台に座るマルカが再び話し掛けてきた。
「お兄ぃ、この臭いって何?」
ああ、マルカは硫黄の臭いを知らないのだな。
だから、彼女に教えてやる。
「これは硫黄の臭いだな。近くに温泉でも湧いてるんじゃないのか?」
「温泉?」
すると、彼女は温泉も知らないようで、首を傾げて尋ねてくる。
そうなると、温泉を説明する必要があるのだが、それは流石に面倒だ。
そう思って、視線をミイに向けると、彼女は私に任せろと言わんばかりに標準的な胸を叩く。
「温泉探しなら得意よ。エルフの森で散々やったからね。マルカ、馬車を止めて」
彼女はそう言うと、止まった馬車から降りて両腕を広げる。
「さあ、水の精霊たちよ!私は温泉を所望しているの。探してきてちょうだい」
恐らく、精霊たちにお願いをしてるのだろうが、何とも高飛車な物言いだ。
あれで、精霊たちが本当に働いてくれるのだろうか。
そんな感想を持ちながら、彼女の様子を伺っていると、虚空に向かって何度も頷いている。
「こっちだって言ってるわ。馬車は無理だって言ってるわよ」
彼女の言葉を聞いた俺は、みんなに説明して馬車をアイテムボックスへと仕舞い、徒歩で温泉へと出かける事にした。
「ママ、たっか~いの。すっご~いの」
キララを肩車してやると、キャッキャと喜んでいる。
喜ぶ彼女に心癒されつつ、ミイを先頭に歩いて行くと、見事に温泉へと辿り着いた......
しかし、見事に到着はしたのだが、どうも見ても普通ではないように思う。
それについての感想を口にしたのは、温泉を知らないマルカだった。
「お兄ぃ、あれはなに?あれが温泉?」
そんな彼女に、その物体を見たことがあるサクラが答える。
「た、タコだわ。それもめっちゃ大きい!」
そう、そこには何故か温泉に浸かる巨大タコの存在があったのだ。
タコと言えば、脚が八本ある海の生物なのだが、温泉に入るとゆでダコになるのではないだろうか。それに、これは脚の長さだけでも二十メートルくらいはありそうな巨大タコだ。こんなタコが存在するのだろうか?
そんな疑問を持った時だった。俺の耳に悲鳴が飛び込んでくる。
「きゃ!何これ、気持ち悪い!てか、放しなさいよ!」
そこには憤慨しつつも、逆さになって宙に浮かぶミイの存在があった。
更に、彼女は驚きの声を上げる。
「えっ!?えっ!?ごめんなさい。もう、あんな態度は取らないから」
宙吊りになったミイは、虚空に向かって必死に謝罪している。
彼女の様子からして、恐らくこれは高飛車な態度を取った所為で精霊に嵌められたのだな。
「てか、これって触手攻撃?あの~、私、まだ未経験だから、辞退させて貰ってもいい?」
うねうねといやらしい動きを見せるタコの脚を見つつ、サクラが己の処女性を盾に戦闘放棄の姿勢を見せてくる。
てか、これを見てそこまで考えられる知識はあるんだ......
サクラの発言で、彼女の持つエロ知識に感嘆しつつも、即座に戦闘態勢を執ったのだが、その瞬間には二人の女性の声が上がった。
「あ~ぅ、だから、私は処女だからそんなに大きいのは無理なのよ!エルなら非処女だから、そっちにして~~~」
「こ、こら、サクラ!な、なに、何をいう!経験があっても、あんな大きなものが入るか!」
ヤバイ、どんどん下ネタに向かっている。このままだと十五禁を守れなくなってしまう。そうなると、糞神退治どころかノクターン行きになってしまう。
それだけは何としても避けなければ。よし、早々に始末してしまおう。
なんて考えている内に、ミイ、エル、マルカ、サクラ、ニアの五人が触手に捕まってしまった。
ヤバ~~~イ、超エロい空気が漂ってきた。
その途端、宙吊り状態の女達から悲鳴が上がる。
「うぁ、触手が服を......ダメなのよ。私の始めては......決めてるんだから」
どうやら、このタコの脚は八本では無いようで、無数に現れた触手が物凄い勢いで、サクラのビキニアーマーを脱がせている。お蔭で大きな物がぽろりぽろりと零れるように現れる。
更には、下まで脱がしたものだから、生い茂る物まで目に留まってしまった。
「にゃ~~ん、丸裸にされるニャ~の」
ニアも同様に、あっという間に丸裸にされると、バタバタと暴れていので、それに合わせて見事に実った二つの果実が揺れている。
「こ、こら、何をしておる。あ、お、おい、脱がすな~~~~!」
やはり、圧巻なのはエルの果実だ。大きさといい、形といい、最高傑作と言えるだろう。
あの果実を俺が独占できるかと思うと、かなりの優越感に浸れる。
「だ、ダメ!って、な、なんで、胸だけノータッチなのよ!」
ミイもあっという間に脱がされているのだが、恰も半端な物は興味ないとばかりに、胸だけを無視された事で、怒り心頭のようだ。
大丈夫だ。ミイ。お前の胸も可愛いからな。
「うきゃ~~、お兄ぃ、見ないで~~~~!」
マルカは真っ赤な顔をしながら、一生懸命に胸や下半身を隠そうとしている。
ただ、不思議なのは、ミイより小さいマルカの胸は無視されなかったことだ。
もしかして、巨乳か貧乳でないとダメで、中途半端なのは嫌いなのだろうか?
結局、サクラ、ニア、エル、ミイ、マルカが悲鳴? をあげる中、巨大タコの触手は見事な手並みで、彼女達の服を脱がせてしまった。
こ、これは...... 日本に居たら絶対にAV業界から引っ張りダコになるぞ。
......すまん。少しオヤジ臭かった...... そんなことよりも、いよいよピンチだ。早急に倒さないと......
焦りを感じつつも、アイテムボックスから金属バットを取り出して、いざ向かわんとしたところで、後ろにいたナナミが颯爽と前に出てきた。
「ヤめなさいです~。トまりなさいです......どうやら、コワれているようです~」
ナナミは俺の前に立つと、巨大タコに命令し始めたのだが、それに無反応だと知ると嘆息しつつ、不具合だと言い始める。
その事に疑問を持った俺は、透かさず彼女に問い掛ける。
「ナナミ、この巨大タコの事を知っているのか?」
「ハイです~。ワタシが作ったのです~」
「えっ!?なんでこんな物を?」
「これは、オンセンでのサービスマシーンなのですです。ダツイやセンジョウをテツダってくれるのですです~。でも、コワレれてるのです~」
経緯は分らないが、どうやら温泉をより快適に過ごすために造ったものらしい。
男の俺としては、ある意味で快適で眼福だと言えなくもないが......
いやいや、煩悩退散! 早くなんとかしないと、いよいよノクターンが近寄ってくる。
「ナナミ、お前が作ったのなら何とかならないのか?」
「ヤってみますです~」
ナナミに巨大タコの停止を要求してみると、彼女は何とかすると返してくる。
だが、次の瞬間、彼女はバズーカー砲を取り出すと、タコの頭に目掛けて砲弾を射ち放った。
おい! 結局は退治するだけかよ......
しかし、彼女の放った砲弾が巨大タコに炸裂すると、タコの見た目は全く変わる事無く、その動きだけを止めてしまう。
「こ、これは如何いう事だ?」
「セイギョマヒダンをウチちコんだのですです」
どうやら、作成者である彼女しか知らない方法で巨大タコの動きを止めたのだろう。
それを見た俺は、視線を宙にある嫁達に向けたのだが、これが恐ろしく魅惑的な状況だった。
というのも、全員があられもない姿となっている事から、俺の心臓の動きも半端ない事になっている。
恐らく、これは随分と行為に及んでいない事による代償なのだろう。
そんな事を考えながらも、俺は一人ずつ触手から解放して遣り、彼女達を優しく温泉に浸けていく。
今までも一緒に風呂に入る事は多かったが、サクラのテントを使うようになってからは、別々に入浴するようになったことから、お互いにドキドキしているようだ。
というのも、彼女達も全員が借りてきた猫の様な状態で顔を赤らめているからだ。
そんな女性陣を眺めつつ、己の幸福感を噛み締めていたのだが、俺の下半身は女性陣の注目を浴びる程に巨大化していたのだった。
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