第48話 要らぬ事ほど起こるもの


 男だけの集まりって割と愉快で楽しいと思う。

 それは別にBLなどというネタでは無く、男同士とは普通にワイワイと騒げて楽しいのだ。

 しかし、そこにひとたび女性が参入すると、色々な因果関係が確立されていく。

 それでも、まあ、余程でない限りは、なんとか上手く行くだろう。

 しかし、女性ばかりの中に男が一人とか、もはや苦痛でしかないと思うのは俺だけだろうか。

 ハーレムなんて要らないから、俺に安息を与えて欲しい。


「ソウタ、昨夜の女も手に入れようとしてたわよね」


 してね~し!


 脳内から脱出した愛人のミイことミーシャルが繰り出すツッコミに、心中で反発する。

 口にしても話が長引くだけなので、取り敢えず寡黙な男を演じてみる。

 それにしても、彼女の本来の姿はエルフだけあって、相変わらず人間離れした神秘的な美しさを誇っている。

 ずっと指輪と融合していたので、運動不足で太ったかと思いきや、出会った頃と変わらぬ美しさを保っている。

 決して口にはしないが、ミイの美しさに惚れ惚れとしていると、今度は別方向から攻撃が飛んできた。


「ソータ、ニアは仕方ないとして、これ以上女を増やしたら承知しないぞ」


 いや、全く増やすつもりはね~し!


 やはり脳内から解放された第二夫人のエルことエルローシャが俺を攻め立てる。

 これも反抗すると倍返しになるので、黙って遣り過ごす。

 だが、この嫁も恐ろしい程の美人だ。オマケにスタイルも抜群だし、本当にこんな女性を嫁にして良いのか、今更ながら不安になってくる。


「ダンニャ様~、知らない女に餌をやったらダメニャ~よ。癖になるニャ~よ」


 いつの間にか第三夫人の座を勝ち取ったニアが、俺の行為に苦言を述べてくる。


 てか、お前が言うな! お前が! お前がその筆頭だろうが!

 

 完全に自分の事を棚上げしている猫娘のニアを心中で罵倒する。

 そう言えば、彼女についてだが、猫人族のメスで十五歳らしい。

 見た目も可愛いし、とても献身的で好ましい少女なのだが、如何せん頭が少し弱いのが残念だ。


「まあ、下心なんて無いと思うけど、お兄ぃは人が良過ぎだよ」


 割と真面な忠告をしてきたのは、魔人族の少女マルカだ。

 年齢は十四歳で、実はニアより年下だという事がつい最近判明した。

 ただ、彼女の場合、普段は人間の様に見えるが、それは世を忍ぶ仮の姿で、本当は少し浅黒い肌に白銀の髪を持つ可愛らしい魔人少女だ。


「ママ~、ママ~、おなかすいた~」


 夕方までもう少し時間があるのだが、早くもお腹を空かせた竜人族の娘キララが騒ぎ始めた。

 まだ二歳くらいの体型だが、俺と融合してからというもの、かなり言葉を話せるようになった。

 それが、可愛くて可愛くて、最愛の愛娘といった状況だ。

 そのお蔭で、周囲からは冷たい視線を浴びせ掛けられる事になっている。


『それより、気付いたかい?』


 他の面子と違って、唯一人念話によって話し掛けて来たのは、黒猫の姿をしたカオルなのだが、その本性は死神である。

 そのカオルが俺に罵声を浴びせる事無く、昨夜の件について問い掛けてきた。


『もしかして、あの女が日本人だという件か?』


『ふむ。やっぱり気付いてたんだね』


『ああ、あれだけ見た目がこの世界の人間と違えば気付くだろう。それに着ていた服だってかなりヤバイ代物だったし。絶対に糞神絡みだろ』


 昨夜、お腹を鳴らしながら現れた女の話だが、如何見てもこの世界の人間では無かった。

 実はそれをしっかり確かめたくて食事を与えてみたのだ。

 しかし、見た目の印象から、俺やカオルと同じ流れでは無い事を察する。だから、根掘り葉掘り聞くのを止めたのだ。

 大体、俺がカオルからチートアイテムを貰っても三年以上の月日を費やしたのに、そう簡単にチュートリアルを切り抜けられる筈がない。

 だから、もしここに糞神絡みの日本人が居るとしたら、奴等の手駒だと思って間違いないだろう。


『もしかしたら、糞神達が颯太の異常性に気付いたのかもしれない。それで敵対する者を造りだしたのかも知れないね』


『その代わり、生活感のなさそうな女だったけどな。俺と戦う前に餓死するんじゃないのか?』


『あははは。まあいいよ。颯太がその事に気付いていたのなら問題ないよ。でも、どうして食事を分けてあげたんだい?』


 糞神絡みの話を終えた処で、カオルが追加で尋ねてくる。

 実際、聞かれても大した理由では無いのだが、別に隠すことでもないので教えてやる。


『いや、あの女の表情があまりにも悲惨だったからな。それにフライパンの上の肉しか見えてなかっただろ?』


『確かにね。でも颯太。君のそういう優しい処が女を増やす原因だと思うよ』


 ぐはっ、結局はカオルからも説教を喰らう羽目になってしまった。


 そんな騒ぎを繰り広げながら、俺達は必死に走るのだった。







 次の目的地だが、禁断迷宮のあったミラルダ王国の北にあるリアルア王国という国だ。

 という事で、禁断迷宮を踏破した俺達は、ロルアロの近くで一泊した後に速攻で移動を開始したという訳だ。

 速攻の理由は、鍵の奪取で追われているからでは無い。

 昨夜の空腹女に追いつかれないようにするためだ。


『さて、キララも大騒ぎになってきたし、今日はこの辺りで野宿しようか』


 そう、カオルが言う通り、俺の背中ではキララが暴れ捲っているのだ。

 その理由は、当然ながら空腹によるものだ。


「ほらほら、キララ、もう直ぐご飯だからな」


「マンマ~、ほんと?」


「ああ、ほんとだぞ!」


「やった~~」


 周囲からの冷たい視線をスルーして、おんぶしていた彼女を今度は抱っこする。


「だから、ニアママの処で大人しくしてるんだぞ?」


「うん。にゃママ~!にゃママ~!」


「キララ、おいでニャ~の」


 ニアにキララを渡すと、キララは彼女の尻尾で遊び始める。

 最近ではニアも慣れたもので、自分は動かず尻尾だけ動かしてあやしているのだ。

 だが、そんな俺の行動をミイとエルが半眼の眼差しで突き刺してくる。


「ソウタはキララにだけは、とっても甘いわよね」


「それに、ニアにも甘いぞ」


 いやいや、それは隣の芝が青く見えるだけだぞ。

 ちゃんとお前達の相手もしてるじゃないか。

 と言っても、メンバが増えた所為で、エッチなんて出来る状況では無い。


「それより、各自、自分の分担をきちんと熟せよ」


 そう言いながら、俺はテントやバスタブなどをアイテムボックスから次々と出していく。


「解ったわよ」


「仕方ないな」


 それを見ながらミイとエルも渋々ながら行動に移る。

 と言うのも、みんなで分担した方が早く食事にあり付けるからだ。


 俺は風呂の準備をするミイとエルから視線を移し、眼前のまな板と大量の肉、僅かな野菜に目を向けて下準備を始める。

 下準備と言っても、うちは肉食系女子ばかりだし、俺自身が簡単な料理しか出来ないので、とても簡単な作業だと言える。

 その事を皆に申し訳ないと言ってみたのだが、誰一人文句を言う者は居なかった。

 てか、彼女達は焼肉とラミアの蒲焼さえあれば、他の料理は如何でも良いらしい。

 日本で言うと、寿司、焼肉、焼肉、寿司、焼肉、みたいな生活だよな。


 そんなお手軽な仲間達の為に、フライパンを温めてから脂身を乗せ、脂が回ったところで肉を投入する。

 すると、香ばしい匂いが鼻をくすぐってくる。

 ちらりと右隣をみると、カオルが幸せそうな顔でやや猫背気味に座っている。

 てか、猫だから仕方ないか......


 実を言うと、ニアのようなケースを想定していたので、この腹に訴える匂いを放っても、昨夜の女が出てこない事に安堵する。

 その事で一気に気分を良くした俺は、木皿を取り出して程好く焼けた肉を盛り、カオルの前へと差し出す。


『ありがとう。颯太』


 カオルは例を言うと、早速とばかりに肉を両手で掴むと、ハグハグと齧り始める。


 猫舌なんて真っ赤な嘘だな。ああ、カオルは猫に見えて猫じゃないか......


 いつもながらの猫らしくないカオルを見ながら、フライパンを軽く洗って今度はキララの分を焼き始める。

 これに付いては、全員が妥協しているので物申す者は居ない。

 と言うのも、キララの飯を遅らせると、みんなの鼓膜が破れる程なのだ。


「マ~マ、ウチのごはん」


「ああ、これからキララの分を作るからな」


「やった~~~!」


 俺の言葉に手を叩い大喜びするキララ。

 その笑顔が最高に可愛い。


 という訳で、急いでキララの分を作るのだが、困った事にこの娘も野菜を食べないのだ。

 将来が思いやられるぞ。なんて考えながら、サクッとキララの分を作って木皿に盛り、彼女の眼前に置いてやると、カオルと同様に両手を使ってバクバクと食べ始める。

 その食いっぷりは、とても見た目通りには見えないが、その満足そうな笑顔をみると、こっちの方も幸せな気分になってくる。


 やはり、キララは俺の天使だけはあるな。


「ソータ、風呂の準備が終わったぞ。妾の食事はまだか?」


「ソウタ、私のご飯はまだかしら?」


 風呂の準備を終えたらしいエルとミイが飯の要求をしてくる。


「ああ、これから二人の分を焼くから、もう少しだけ待ってくれ」


 てか、俺って完全に主夫じゃね?


 自分の行為に疑問を持ちながらも二人の食事を作り、マルカとニアの分を作る。

 その頃には、カオルやキララがお代わりを要求してくる。

 更に、それを作ってやると、ダッシュで食い終わったニアがお代わりと騒ぐ。

 それを作り終えると、今度はエルとミイのお代わりの番だ。

 こうして脳内嫁と脳内愛人が復活したことで、俺の食事の時間がどんどん遅くなる事に、誰か気付いてくれているのだろうか?


 まさに、夕食時は戦場となっているのだが、更にカオスなのが風呂だ。

 エルとミイが復活した事で、もはや手が付けられない状況になっている。

 それでも、エルやミイが復活してくれたのは、俺としてもとても嬉しいので、文句なんて言ったら罰が当たるだろう。


 ということで、この糞ゲーワールドに置いて、唯一の幸せを味わいながら、明日に向けて英気を養うのだった。







 今日も走る。ひたすら走る。黙々と走る。限界に向けて走る。

 隣を見ると、エルが辛そうな表情をしながら走っている。

 反対を見ると、ニアが全く苦など無いかのように走っている。

 ミイとマルカは栗毛馬のミラローズに乗り、カオルはマルカが抱いている。

 キララと言えば、いつもの様に俺の背中できゃっきゃと騒いでいるか寝ているかのどちらかだ。

 そんな俺達は、ロルアロを発って一週間の時が過ぎ、もう数日も進めばリアルア王国の領土に入るといったところだ。


『カオル、そろそろ馬車が要るかもな』


 隣で苦しそうにするエルを見遣りながら、念話でカオルに進言する。


『そうだね。ミイとエルが復活しちゃったし、次の街で馬車を入手しようか』


 賛成の言葉を伝えてくるカオルだが、購入するのは俺だ。

 てか、あのバカ貴族みたいな奴が現れないかな~。


 そんな事を考えたのが拙かったのだろう。


「お兄ぃ、前方に馬車がいるよ」


 あう~、これは絶対にトラブルが発生するぞ。


「あ、あれは盗賊に襲われてるニャ~よ?」


 今度はマルカと同様に目の良いニアが教えてくれる。


 ほら、ほら、ほら~~~! つまんね事を考えるんじゃなかった~~~!


 己の思考を呪いながら、マルカとニアから詳細な情報を貰う。

 その情報からすると、馬車の周りには数人の護衛が居るが、その周囲を百人くらいの人間が囲んでいるようだ。

 ただ、ニアが言っていた盗賊と言うのは誤りで、馬車の周りを取り囲んでいるのは兵士のようだった。


「お兄ぃ、如何するの?」


「そんなのは、助けるに決まっておるぞ」


 物凄くカッコイイ言葉だけど、マルカの問いに答えたのは俺では無い。

 そう、ドレスアーマーでセクシーな身を包んだエルローシャ姫さんですよ。

 はぁ~、困ったお転婆嫁だ。


「りょうか~い」


「にゃ~も頑張るニャ~よ」


 俺が一言も発してないのに、既に四人の女性が馬車側の加勢に回ったようだ。

 てか、奴等はどっちが正しい者かを理解してるのかな?

 もしかしたら、助けた方が悪者というパターンだってあるんだぞ。


 そんな俺の不安を余所に、四人の娘は馬車を囲む兵士達を軽く蹴散らしている。


「喰らいなさい!」


 ミイは離れた処から矢を放ち、兵士達を次々と戦闘不能に追いやる。


「みんな吹き飛ぶニャ~よ」


 更に、ニアが高速で兵士達に襲い掛かるが、黒猫装備を装着していない状態だ。

 あの装備で遣られたら、人間なんて一瞬で挽肉に変わるからな。


「温い!鍛錬が足らぬぞ!」


 更に、こちらに向けて攻撃を始めた者達をエルが大剣で切り倒しているが、かなり手を抜いているようだ。

 だって、今のエルが本気でやると、あんな兵士なんて簡単に真っ二つとなるだろう。


 てか、温いって...... 普通、敵に鍛錬されたら困るんじゃね?


 ツッコミ処満載の嫁に溜息を吐く。


「ウオーターショット!」


 弓と化していたミイが復活したことで、遠距離武器が無くなったマルカは魔法を使った攻撃で相手を翻弄している。


 最早、こいつらは一般の人間と戦ってはいけないレベルだな。

 全く勝負にならないじゃないか。というか、このままだと唯の虐殺になるぞ。

 あの兵士達もその事に早く気付いて逃げれば良いのだけど、なまじ統率の執れた部隊だけあって、勝手に逃げたりしない処が、逆に深手となっているような気がする。


 まあ、万単位の兵士に火炎石メテオをぶち込んだ俺が言う事じゃないか......


 諦めの表情で戦闘を眺める俺は、戦闘に参加する気すらない。

 と言うのも、殆ど終わりを告げていると言ってもおかしくない状況だ。

 だが、そこで思わぬ言葉が耳に入る。


「え、エルローシャ姫!そ、そこに居られるのはエルローシャ姫ではないですか?」


 歳は二十代半ばくらいだろうか、見るからに貴族ぽい色男が声を上げた。

 どうやら、その男はエルの事を知っているらしい。


「め、メイファスなのか?」


 エルはその声の主を見た途端、驚いた様子で名前を口にしてる。

 彼女の台詞を聞く限りでは、お互い知った仲のようだ。

 そんな彼女に、そのメイファスと呼ばれた色男が駆け寄って来る。


「変態男に攫われたと聞いてましたが、ご無事だったのですね」


 おいコラ! まさか、変態男とは俺の事じゃないだろうな!


 エルは透かさず俺の顔色を窺うと、直ぐにメイファスへと告げる。


「何を言っておる。妾の夫は変態では無いぞ。誰よりも強い男だぞ」


 いや、そこまで強い男じゃないけど...... 特に精神面が......


 だが、エルはその大きさを誇示するかのように堂々と胸を張り、メイフィスの発言を否定する。

 実は、彼女のその態度に、ちょっとだけ感動したのは内緒だ。


「そ、そうでしたか......残念です。私の妻になって欲しかったのに」


 メイファスはエルの言葉を聞いてガックリと肩を落とし、残念そうな表情で告げている。

 だが、次の瞬間、鋭い視線を俺に向けて放つと、腰の剣を抜いて声を張り上げた。


「お前がエルローシャ姫を攫った男だな。私と勝負しろ!」


 はあ? こいつ何言ってるんだ? エルの台詞を聞いてなかったのか?

 それに、助けて貰ったのに礼も無しか?


 開いた口が塞がらない状況に、俺はだんまりを決め込むが、奴は勝手に襲い掛かって来る。

 しかし、剣が振り下ろされる前に、奴は見事に殴り飛ばされていた。


「にゃ~のダンニャ様にニャにしてるニャ~よ」


 そう、ニアの猫パンチでメイフィスは吹き飛んだのだ。


「王子!王子!」


「貴様!王子に何をする!」


「許さんぞ!」


 てか、そのメイフィスって王子なのか!?


 俺の驚きを余所に、その王子付きらしい騎士達がニアに向かってくる。

 当の本人であるメイフィスは止めるどころか、完全に夢の世界へと飛び立っている様子だ。

 流石に、仰ぐべき者が倒れたのだ。

 騎士達が熱り立つのは解るが、助けてくれた者への対応では無いと思う。

 その事に、カチンときた俺が吠える。


「お前等は如何見ても騎士のように見えるが、騎士とはこんなにも礼儀知らずなのか。だったら、お前等なんか助けるんじゃなかった」


 すると、剣を抜いた騎士達が更に熱り立つ。

 だが、そこで空気を響かせる程の叱責が飛ぶ。


「お前等は何をやっとる!その方の言われる通りだ。直ぐに剣を収めろ」


 その声と共に登場したのは、口髭が抜群の印象を放つ体格の良い年配の騎士だった。

 年配と言っても、五十歳くらいだろうか、まだまだ壮健そうな雰囲気が滲み出ている。

 そのオヤジが前に出て来ると、剣を抜いていた騎士達が直立不動となって敬礼をする。


 おお、まさに鬼軍曹みたいだ。


 そんな感想を抱いていると、そのオヤジが俺達に向けて頭を下げてくる。


「失礼しました。我々の窮地を救ってくれた恩人に剣を抜いたこと、深くお詫びさせて頂きます。それと助太刀して下さって本当に感謝しております」


 凄いな~。さぞ偉い立場の人間だろうに、俺達の様な怪しい者に頭を下げる事が出来るなんて、このオヤジは立派な人物のようだ。


「いや、頭を上げてくれ。俺は気にしていないから、そっちも気にしないで欲しい。こっちも守るためとはいえ、王子とやらを殴り飛ばしたんだ。ただ、悪気が無かった事は理解して欲しい」


 頭を下げるオヤジの謝罪を受け入れる。

 すると、頭を上げたオヤジは嬉しそうな表情で話し掛けてくる。


「いやいや、お主達の力は物凄い。それにお主のオーラは桁違いだ。それを理解できないうちの若造達に、お主の爪の垢を煎じて飲ませて遣りたいくらいだ。それとエルローシャ姫、ご無沙汰しております」


「久しいな。クルドア、壮健であったか?」


「エル、知り合いなのか?」


 ここでやっと、この者達の素性が明らかになるのだが、その後の話は聞かなければ良かった。


「お主の力を見込んで頼みがあるのだ」


 クルドアと呼ばれたオヤジの言葉は、俺達に要らぬ厄介ごとを招くのだった。


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