7夜め パワープレイでいこう
皆さんが吸血鬼に求めるものとは何でしょう。
美男、あるいは美女であること?
黒づくめであること?
動物に変身すること?
催眠術が使えること?
と、まぁ数え上げればきりがないでしょう。
それは個人の吸血鬼観によりますし、血さえ吸えば何だって吸血鬼です(スイカやメロンだって!)。
しかしこれは作者のエッセイですので、作者の吸血鬼観をぶっ散らかさせていただくことにしましょう。
作者が吸血鬼に求めるものは「力」です。
馬鹿力あってこその吸血鬼。
という考えが、なぜか作者の中にあります。さすがにロードローラーまでは求めませんが、道路標識を引っこ抜いて手斧代わりに振り回すくらいはぜひやっていただきたいところです。
かのドラキュラ伯爵もしっかりパワータイプ。運送屋さんがひいひい言いながら持ち上げるような重たい棺を「お茶の包みでも」持つようにひょいひょい運んだとのことですから。
最初に顔を合わせたジョナサンは彼(が変装した御者)と握手をして「向こうがその気でかかれば、自分の手などたちどころに粉微塵に砕いてしまうことができるだろ。まるで鉄の万力みたいな手だ」と言っていますから、手加減しているにもかかわらず相当だったんでしょう。なお、この「」内は引用です。完訳版、平井呈一先生訳。何か台詞を引っ張ってくるときは、これからちゃんとかっこでくくることにしましょう。先述の「お茶の包み」も記憶が確かなら原作にある記述のはずですが、どのくらいのシーンだったかもわからず捜査は断念。ひょっとしたら完訳ではなく、菊地先生版の記載だったかも……。すみません。
***
グールだってゾンビだって力押しじゃないですか。それしかないともいうけれど。貴族貴族したオシャレな吸血鬼文学が流行る以前は、吸血鬼って言やあその手のものと大差のない「よみがえって襲ってくる死体の化け物」だったわけですから、吸血鬼だって力押しでいいんですよ。
とにかくアンデッドとはパワータイプであるべきなのですよ(暴論)。
……そうです。吸血鬼がパワーの時代は、オシャレ吸血鬼文学によって終わりを告げたのです。作者はこのオシャレ古典吸血鬼小説群が嫌いではありません。むしろ好きです。耽美な吸血鬼も大好きな無節操吸血鬼マニアですから。吸血鬼に翻弄される哀れな人間を眺めながら「いいぞ、もっとやれ!」と吸血鬼にエールを送る楽しみ方ができます。それが腕力ではなくて、たとえば催眠術、その他超能力、単に誘惑の手管……方法は問わないのです。人間を恐怖のどん底に突き落とす力であれば、いいのです。
作者、悪の先兵みたいですね(笑)。
現在、パワータイプの吸血鬼が最も生息している界隈は少年~青年漫画かと思われます。それか、洋画。女性向けにはキャラ数だけならもっといっぱいいそうですがあれはパス。あのジャンルで、パワータイプは少数派でしょうから。
とにかく、パワータイプの吸血鬼かっこいい―!
ってだけです。ようお付き合いくださいました。感謝感激あら雨嫌だ傘忘れてきちゃったわ。
今晩はこれにて。
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