4夜め 不遇なる石油王
吸血鬼関係ないじゃん!
とお思いかもしれませんが、まあ、おさえておさえて。
今回は作者の大好きな、でもとっても不遇な、吸血鬼小説の登場人物について書き散らかす予定なのです。
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彼の名前はキンシー・モリス、テキサス生まれの快男児。大地主で、手持ちの土地から石油が出ます。にもかかわらず職業は「冒険家」。数々の死線を潜り抜けてきたスゴイ男なのです。
「吸血鬼ドラキュラ」の主要人物であり、文化人寄りの主人公パーティの中ではおそらく一番の武闘派という頼れる存在の彼。いったい何が不遇なのか? と聞かれれば。
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まず原作では、振られます。
「ドラキュラ」のサブヒロイン(だよね?)であるルーシーは、「1日のうちに3人の男からプロポーズを受ける」という乙女ゲームもはだしで逃げ出すイベントを持っており、そのシーンは彼女は親友ミナに出す手紙に記されているという体裁で読者に開示されます。それによるとキンシーさんは2番手だったのですが、彼を振ったあとの、手紙の記述がひどい!
「ドクター・セワード(一番手)をお断りした時の半分くらい、お断りしずらかったわ」
それはつまりドクター・セワードの倍くらい断りやすかったってことでよろしいんですよね!? ひどい。ひどいぞこの女! いくら本人に伝わらないとしても、そういう表現はどうなんだい!
これに気づいてしまってからは作者の中のルーシー株は低いまんまです。全国のルーシーファンの皆さん、ごめんなさい。
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原作の中で受けている屈辱は、まあせいぜいこれくらいなもんです。読者にはダダ漏れでも、ルーシーとミナしか知りえない情報です。
ここからは、メディアミックスにおける不遇さです。
まず、映画。
ドラキュラを原作とする作品であれば、まず吸血鬼のドラキュラ伯爵がいて、対抗組織としての人間たちがいるわけですが、なぜかキンシーさんは映画だと外されやすい傾向にあるのです……。
では、ほかのキャラクターに外せない理由があるのか? という目線で考えてみることにしましょう。
・ジョナサン
主人公です。彼がいきなり死んでしまう映画もあるようですが、大多数はドラキュラ城から命からがら逃げ伸びてきた彼が主人公ポジションとなります。
・ミナ
真ヒロインです。物語中盤でジョナサンと結婚。それ以降は伯爵に噛まれてしまうも、催眠術を用いて彼女の意識から伯爵の動向を探り、逆転の一手につなげるため超重要人物と言えるでしょう。
・ルーシー
ミナの親友で、おそらくサブヒロイン。伯爵に噛まれて死亡するも、吸血鬼となって復活。生前の可憐な様相が想像できないレベルの怪物となって主人公勢の前に姿を現し、吸血鬼になることのおぞましさを知らしめました。
たどる運命は不幸せでも、出番的には決して不遇でないと作者は思っています。
ただし尺のない映画だと、出番があってもさらっと流されてしまう危険性はあり。
・ジャック
ルーシーに振られた人、一人目です。彼は精神科医で、比較的若手なのですが自分の病院を持っているあたりエリ―トです。そしてみんな大好きヴァン・ヘルシング教授が彼の恩師のため、教授召喚要員として機能します。
たまに、彼がいなくていきなり教授のパターンもありますので、ジャックもそれなりに不遇かもしれない……。
・アーサー
ルーシーの本命。
貴族なので金と家名にモノを言わせて、結構強引な行動もできるのが(戦う上では)魅力的。ルーシーと最もつながりの深い人物なので、ルーシーとセットと考えてよいかもしれない。
・ヘルシング教授
彼無しにはドラキュラは語れまい。
ヘルシングと言えば吸血鬼ハンター。原作ではすでにお年を召していて、後方支援に回ることが多いですが、映画では吸血鬼とタイマンを張ることもしばしば。そのものずばりの「ヴァン・ヘルシング」なんていう映画もありましたよね。不可欠の人材です。
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と、まあ、だいたいこんな感じなのです。
あおりを食らうのは、キンシーとジャックばかりなり……(遠い目)
ものすごいネタバレを覚悟で言うならば
伯爵にとどめさしたのキンシーなんですけどね。
今晩はここまで。
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