2夜め あいつの行く先に○○と××があるように
茜と山査子の杭……と即答したあなたは、あの戦闘システムに難儀した仲間ではないでしょうか。デスモドゥスかっこいいですよね!
え? 違う?
これは失礼。
今回は、吸血鬼の弱点について管をまこうと思います。
***
日光、にんにく、十字架に銀製品あたりが有名どころでしょうか。流水や網目にまで言及するとちょっとマニアックな印象。「招かれない家に入れない」はマイナーもいいところですが、映画「フライトナイト」では実にうまく使っていていち吸血鬼ファンとしてはうれしい限りでした(リメイク版はちょっといただけないけど)。
他にも吸血鬼の弱点は山のようにありますから、多くの作品に触れている方なら見たことがおありでしょう。
ではなぜ、吸血鬼とは弱点が多いのか?
それは、吸血鬼伝承が世界中にあるからです。
「よみがえった死体で、血を吸う怪物」というくくりで見るとその伝承は無数にあり、地域ごとに「弱点」も違います。吸血鬼作品を作る人たちがそのさまざまな伝承から弱点を拾っていった結果、「最も弱点が多い怪物」と言われるまでに至ってしまったのでしょう。
とある有名な作家さんがこうおっしゃったそうです。
「吸血鬼って、空き巣より弱い。勝手に家に入れないんだから」
確かに。
***
ここからは個別の弱点について書き散らかしていきたいと思います。
まずは日光。
古い映画の吸血鬼は当たると灰になりますが、今時そんな吸血鬼も少ないでしょう。雑魚ならともかく、物語の主軸になるような吸血鬼はたいていつわものですから「日光など効かんわ」とまではいわなくとも「苦手」程度に収まるキャラが多いように思います。
実はこれ、われらがドラキュラ伯爵にも当てはまりまして。
灰になるイメージの強い伯爵ですが、それは映画だけでの話。原作では特殊能力こそ使えなくなるものの、夕方の町をうろうろしている場面が描写されます。女吸血鬼の代表選手、カーミラ嬢も昼間のお散歩を楽しまれていたようですが、こちらは原作が手元にないため未確認。
民間伝承で言うと、ロシアには朝起きて夜は寝る(!)吸血鬼の話があるそうです。
続いてにんにく。
匂いの強いものというのはにんにくに限らず魔除けに使われていましたので、その流れではないかと思われます。これは伯爵もしっかり苦手。ドラキュラ原作ではより匂いの強いにんにくの花を使って伯爵を遠ざけました。
近~現代の作品だとにんにくスプレーで武装するハンターも散見されます。もっと大掛かりなものだと、にんにくの成分を抽出して、アンプルにして、それに針をつけて発射する……みたいな武器があったと思うのですが、何の作品だったかは忘れてしまいました。残念。
そして十字架。
信仰心がないと効かないのはお約束。対吸血鬼アイテムとしてはテンプレ過ぎてあまり使われないかな……と思われる一品です。
宗教的な問題もあるのかもしれません。べつに難しい話ではなく「十字架を向けた吸血鬼が、イスラム教徒や仏教徒ではどうなるのか」という話です。中島らも先生もエッセイで触れていました。生前キリスト教徒だったからこそ、聖なるものである十字架が怖いわけです。
ところで十字架を怖がるタイプの吸血鬼でも、寝ている棺桶のふたにでかでかと十字架が描いてあるのはどういうアレなのでしょう。
他にも語りたい弱点は山ほどあるのですが、語ってしまうと何日かかっても足りませんので。
今晩はこれにて。
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