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救いを求めるように、フォルネウスとサタナキアの姿を探す。しかし二人とも、恐ろしく冷たいまなざしで俺を見つめていた。改めて二人の《LOYALTY》を確認するまでもない。なぜなら、俺を見つめる生ゴミでも見るような瞳には覚えがあるからだ。教室で、女子が俺を見るときの目だ。
そしてグラシャは……おい、何でそんな凶悪な笑いを浮かべて指を鳴らしているんだよ! って、こっちくんな!
そのほかの有象無象の魔物たちの間にも、ざわざわとした動揺が広がっていた。
「魔王様じゃないだと?」「ニセモノか?」「本物はどこへ行ったんだ?」「んなもん知るかよ! あれを殺して、いや拷問にかけて吐かせりゃいい」
ちょっと待て。今聞き捨てならないセリフが聞こえたぞ?
そして実際、怪物どもはじりじりと俺に近付いてくる。
やべえ!
やべえよ!
俺、こいつらに殺される?
ラスボスが手下に突き上げ喰らって、殺されるだなんてどんな展開だよ! デバッグで叩きまくってやる!
俺はアドラとグラシャに追い詰められ、サタナキアとフォルネウスは手の中に光を集め魔法を使う準備をしている。
で、でもゲームだし、死んだところでどうってことないよな? 多分、元の世界に戻るだけだよね?
……いや、だが待てよ。
ゲームの中で死ぬと本当に死ぬってデスゲームものって、結構昔からあるよな?
……。
俺の脳裏で、光の粒となって消える朝霧の姿が蘇った。
まさか……本当に死ぬとかないよな?
そんなことを考えている間にも、魔物たちが俺を取り囲む輪を狭めてくる。
アドラが剣を引いた。殺そうとするのを止めたわけではなく、本格的に斬撃を放つ姿勢を取ったのだ。
どうする?
どうすれば!
どうすりゃいいんだ!!
何者だって言われても。
俺は、俺は、
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