やはり専門家に相談するべきかと
酔っ払い撃退から次の日の朝。
本日は臨時休業のかけ札をして、私はとある場所に来ていた。
お目当ての場所につくと、まだ昼も迎えていないのに人だかりが出来ており、あいもかわらずの賑わいを見せている。
「やはり馴れませんね」
私は人混みが苦手でして、人混みに巻き込まれときには軽い頭痛が起きたりもするんですよね。さっさと済ませて帰りましょう。
「あら、冒険者に復帰してくれるの?」
私の姿に気づいた受付の方から声をかけていただいた。
そう、私は新しい従業員のアテを見つけるために長らくやっていたギルドに顔を出している途中です。
受付の方は、先日に女子会を開いたときに来ていたお客様である。
「いえいえ、本日は別件で伺いに来ました」
「そうなの。私で良ければ聞きましょうか?」
「本当ですか。それなら相談させていただきましょうかね」
この受付の方に酔っ払いを追い払ったこととそれに伴い、新しい従業員を探していることを伝える。
「私たちギルド職員全女性の憩いの呑み《フラワー》屋を汚すなんて許せません!」
「いや、あなた方たちの専用になった覚えはありませんよ?」
「これは由々しき事態です!ミリアさんに相談してきます!」
いや、あのー、それほど大事にしてほしくないのですが……。私の声がとどくはずもなく、受付は2階にズンズンと「私、怒ってます!」と分かる足取りで登っていった。
『あいつ何しやがったんだ?』
『シェリーさんが怒っているの初めて見たぞ』
『てかあいつ、元冒険者のヒロトじゃないか』
……あぁ、さっそく噂になっている。
こんなことなら初めから店に従業員募集の貼り紙をして方が良かったですね。
初めて知った受付さんの名前を気にする余裕もなく、私は1人で黄昏ていた。
「話は聞かせてもらったぞ!」
「……本当に勘弁してください」
2階から団長さんが周りに聞こえるほどの声量で返事を返してくる。
「シェリー、あいつを私の私室に連れて来てくれ」
「はい!」
今度は軽快な足取りで降りてくると私を2階に登るように案内してくる。
一緒に登る私はさしずめ牢屋に連れて行かれる罪人のような重い足取りで登っていった。
「よし、とりあえず座ってくれ」
「失礼します」
団長さんの部屋はソファーと執務用の机に周りよくわからない専門的な本などあることから、事務室のような役割で使用しているのでしょう。改めて団長さんと受付のシェリーさんの姿を確認する。
団長さんは薄い青色の切れ長な瞳で顔のパーツ1つ1つが整っており、髪も瞳と同じ色で肩の位置で切りそろえられて、透き通ってくせ毛の1つもない。プロポーションよく、そこは冒険者、鍛えられた身体は無駄なぜい肉がないのが服から覗く腕をみて分かる。
かたや、シェリーさんは、薄い橙色の瞳に黒色の髪を左側でサイドテールにしており、団長さんが美人ならシェリーさんは可愛い分類になるのでしょう。
しかし、決定に違うのが、シャツ上からでも自己主張が激しい胸で、男性の私はとしては目のやり場に困ります。
「昨日、面倒な輩が来たようだな」
「……ただの酔っ払いですけどね」
私と対面の位置に座る団長さんが口を開く。シェリーさんは、団長さんが座るソファーの後ろで立って話を聞いている。
「私としては少し腕の立ちそうな方を従業員に雇えたら話は丸く収まるんですけどね」
「ヒロトくん、話はすでにそんな簡単に収まることではないんですよ!」
かなりオーバーな気はしますが、団長さんも同意見で首を縦に振って肯定している。
「あの、一居酒屋にそこまでして、団長さんたちにメリットはあるんですか?」
『……はぁ?』
いや、2人揃って真顔で言うのやめてくださいよ。
「君は何も分かっていないんだな」
「どういうことですか?」
「私たち女性が、何の憂いもなく、気兼ねなく夜にする飲酒という意味を」
彼女が言うには、今回私のお店に来店されるまでは、このような集まりの際には、主に団長さんの自宅などに集まって呑まれてることが多く、おいそれと外食などは出来なかったみたいです。
居酒屋は男たちがたむろするのがほとんどで、間違ってお店に入れば、男たちに絡まれ満足に飲酒も出来ずに、最悪の場合は女性としての尊厳を踏みにじられることもあるとか。
「珍しくレレが外で集まりたいと言うから行ってみたら、そこは1人の元冒険者がやっていて、前回は貸切でしてもらったが、普段でも家族連れが多くいると聞く」
「そうですね。軽いレストランみたいな感じで来ていただけたりしますね」
「まず言ってやる。そんな居酒屋は今までない!………酒も飲み放題だったしな」
最後のは聞かなかったことにしておきましょう。
私が思っている以上にあの
「そうなんですよ!だから私たちもヒロトくんのお店を冒険者の男連中が来ないようにギルドでは絶対に話さないようにって約束しているんです」
「……えっ、口コミしてくれていなんですか?」
「当たり前です!それだけ特別ですから」
本当ですか。だからあの後もお客様に変化がなかったんですね。
彼女たちから特別扱いしてもらっていただけるのはありがたいですが、やはり残念ですね。
「本来なら私の隊で見回りを強化をしてもいいが、それで怪しまれたら本末転倒か」
「帰ってたら普通に貼り紙しますから大丈夫ですよ?」
「変な輩がバイトに来たらどうするんだ!」
鬼気迫る勢いで言ってきますが、内容があれなのでまるで恐怖を感じたりしない。
「君、奴隷を雇いたいと思わないか?」
「……奴隷ですか?」
「そうだ。君が思うような闇市でやるようなセリに賭ける物ではなく、正規のルートで労働者を手に入れるんだ」
奴隷に正規もくそもあるんですかね。
話を聞くには、戦争や魔物などに両親を殺された孤児を一挙に引き受けている場所で無事育てるという誓約書1つで身元を引き受けられるとか。もちろん選ばれ孤児には拒否権はあるらしい。
「私も闇市何かと一括りされて奴隷という呼び名は気に入らないが、君は労働力を手に入れて、孤児たちは生活が保障されるなら悪い話ではないだろう」
「……なるほど。確かに悪い提案ではなさそうですね」
そろそろ1人暮らしも心細いとは感じていましたからね。
従業員じゃなくて一気に家族を増やすということですか。
「せっかく提案していただいので、見るだけでもしてきましょうかね」
「さっそく私が地図と案内状を書いてやろう!」
……あれ、従業員ではなくて用心棒を探していたんですよね?
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