コースメニュー 前編
本日は
営業開始から1年が経過して初めてのことで、経営者冥利につきます。
レレさんと打ち合わせして大まかに決めたこと内容を考えてこの日のために準備してきました。
料理の内容は私が決める。
料金はお一人様5000シエル前後を目安。
全員がテーブル席に座れるように設置する。
正直、私も初めてのことにモチベーションが上がり、料理に関しては5000シエル以上になってしまっているが、そこは初回サービスというで自分を納得させています。
「ふふふ、皆さんを満足させる準備は万端ですよ」
自分の準備の出来にいつも以上に笑みがこぼれる。
カラン
「ヒロトくん、約束通り来たよ!」
扉に視線を送るとレレさんを先頭に何名かのお客様が次々と入ってくる。
「いらっしゃいませ。本日はご予約をしていただき誠にありがとうございます」
深々とお辞儀をして、お客様を案内する。
「おー、ヒロトくんお久しぶり!」
「話には上がっていたけど、初めて来ちゃった」
「様になっているね」
冒険者のときとは違い、思い思いお洒落をされており、綺麗であったり、可愛らしいなどその人個人の色が出た格好をされている。
「こちらのテーブルを用意致しましたのでお好きな席にどうぞ」
幾つかテーブルを合わせたのでそれを隠す意味で普段は使うことのないテーブルクロス引いて人数分のグラスにナイフといった食器を置いて準備してある。
席についたお客様を見るとギルドで受付をしている方や冒険者の方とギルド関係者での集まりになっている。
「すぐに料理をお持ちします」
すでに冷蔵庫で冷やしてある料理を幾つか用意して、いくつかの大皿に入れてある料理を均等にテーブルに置く。
「こちらは生ハムとアボカドのサラダとマルゲリータピザになります」
「おぉ、ヒロトくん、しっかり準備してくれたんだね!」
レレさん、私は何だと思っていたんですか。
サラダはレタスにトマトも盛りつけてアボカドは色落ちしないように軽くレモンをかけている。マルゲリータも生地からせっせと作り、取りやすいようにすでに切り分けてある。
「アルコールの方はいかがなさいますか?」
今回のためにワイン、ビール、カクテル、ジュースに至るまで準備してきたのである程度には対応出来る自信はあります。
「何でもいいの?」
「可能な限りは叶えさせていただきます」
「あっ!ヒロトくん、ボクらからお酒で別料金稼ごうとしてるでしょ!」
レレさんの発言あれだが、何となく分からないことはない。
「いえ、今回はレレさんから料金等のお話もされていまので、お酒の方も含まれていますからご安心ください」
そう、私は多分ですが、異世界初の飲み
そのことをお伝えすると皆さんが初めては驚きながらも各々が飲み物を注文する。
「かしこまりした。………レレさんはオレンジジュースですか」
「もう!ボクも18歳越えてるからお酒呑むよ!」
『あははは』
笑い声を背に飲み物を用意し、彼女たちは料理を取り分けている。
「こほん、私たち女性陣で集まってこういう会をするのは初めてだが、知ったる顔同士今日は楽しい1日しよう。乾杯!」
『かんぱーい!』
カチンとグラスを軽く当て、彼女たちの女子会は始まった。
私も次の料理をしていかないと。
「ヒロトくん、おかわりいただいていい?」
「ただいまうかがいます」
やはりビールを呑んでいる方は空くのが早い。仕事終わりで来られたのかよっぽど喉が渇いていたんでしょう。
新しいビールと交換で前のグラスを受け取る。
「ヒロトくんの料理は美味しくていいわね」
「ありがとうございます」
ギルドで受付をされている方で私も何度か対応してもらったことがある。
「そうそう、5000シエルって赤字にならないの?」
「私も初めてのことですが、問題はないと思います」
他の冒険者をしているお客様に心配の声の言葉をかけていただくが、お酒の方は問題ありませんが、料理は少し赤字なのは秘密にしておく。
テーブルの料理も空いてきたので次の料理を切り分けてお持ちする。
「どうぞ、ローストビーフになります。お好みでタレもおかけてください」
前日から味付けして仕込んで置いたこれが今回の赤字の原因でメインになる。
「すごく柔らかい!」
「こんなのおいしいお肉初めて食べたわ…」
そうでしょうね。煮たり、前日に下味をつけたりするのはあまりされないから珍しいのも無理はありません。
「前日に味付けして、焼き上げてから数時間ほど置いてありますので、赤身が残ってはおりますが、問題なくいただけますよ」
「うんおいしい。さすが、ボクのヒロトくんだよ!」
「いつからレレのになったのよ〜」
酔いが回り始めて彼女たちの気分が盛り上げってきたときだろうか。
そこで不意に爆弾が投下された。
「で、みんなはそろそろ結婚とか考えていないの?」
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