君の綿あめ

大きいな積乱雲を見て思い出した。

あのお祭りで食べた綿あめは、たしかあんな形だった。


君が分けてくれた綿あめ。


それまで君は女友達と一緒にお祭りに行ってたのに、その時だけ僕を誘った。僕もいつも行っている男友達の誘いを断って君と二人で行った。それが女の子と一緒に行った初めてのお祭りだった。

その時の僕は君の事情なんて全然知らなくて、これからも君と一緒にいられるのだと信じていた。

別れはとても寂しいということを初めて知った。

そしてこれが恋心だということも。


あれから何度もお祭に行ったし綿あめも食べた。男なのに甘いものが好きなのかとからかわれることもある。

でもどの綿あめも、あの日君と食べた綿あめほど甘くはない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る