泣いてなんかいない
雨をどうにか防げるぐらいに重ねた段ボールの家。ママが死んでからはそこが私の居場所。
食べ物はその日得られるかどうか。
みんなは盗んだ物でお腹を満たしていたが、私はパン屋の裏口でジッと待っていた。こんな状況でも、人の悲しむことはしちゃいけないというママの言葉を律儀に守って。
すると久しぶりに機嫌の良かったパン屋のおばさんからカビの生えたパンを恵んでもらった。
私は喜びながら帰る。
せっかくもらったパンを濡らしちゃいけないと、自分の体で必死に守りながら。
しかし家に戻るとダンボールの家はいたずらされ、崩されていた。
今まで唯一私を守ってくれていた段ボールの上に座り、泣き声を上げまいと私は濡れたパンを口に入れた。
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