雨はあまり好きじゃない。

髪はまとまらないし、お気に入りの靴も履けない。

鞄の他に傘も持たなくてはいけないので、彼と腕を組めなければ手すら繋げない。これでデートを早めに切り上げることになったりでもしたら最悪だ。

だから雨は好きじゃない。

でもたまにいい事もある。

相合傘が出来るとか涙が隠せるとか、そんなロマンチックな事はない。

でもあの人が言った事を聞こえなかった振りはする事が出来る。

今日もバケツをひっくり返したような大雨。

傘を持つ手が疲れるほど激しく打ち突ける。

好きな髪型にできず、好きな靴も履けずに不機嫌でいると彼は言った。

「その服可愛いね」

私は嬉しくって思わず「え？何か言った？」って聞いてみる。

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