予感

デートの帰りに私の家に寄ってタオルと傘を貸してあげる事にした。

夕方からの予報だったのに早く降り始めた雨。


家に寄る予定などなかったら片付けてない。

だから「ちょっと待ってて」と言って私はタオルを取りに部屋に入った。彼女の家に来てるのに、彼はバカ正直に玄関で靴も脱がずに待っている。

それが少し寂しい。


実はデートもあまり楽しくなかった。

本当は『このまま泊まっていけば?』と言いたかったけど、彼に嫌がられるのが怖い。


でも勇気を出して「駅まで送るよ」と傘を二本持った。

でも彼は言う。

「今から走れば特急間に合うからいいよ」

そう言って彼は傘を持たずに出て行った。

私の手に傘が虚しく残る。


ねえ、そんなに早く帰りたい?

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