青白い彼岸花

青白い彼岸花が揺れる。

私はあの人に会いたいだけなのに。それは私のわがままなのだろうか。もう会えないあの人に必死に手を伸ばす姿は愚かで滑稽だろう。


青白い彼岸花が揺れる。

それは奇跡の前触れとも、悪い知らせの予感とも言われる。どちらでもいい。あの人に会えるなら。


青白い彼岸花が揺れる。

それは空の色のようで、まだ見ぬ世界のようで。あの人を吸い込んでしまった空。見知らぬ世界へとあの人は行ってしまった。


青白い彼岸花が揺れる。

手伸ばして、どうしても追いつきたくて、でも影さえ届かなくて。


青白い彼岸花が揺れる。

面影すら曖昧で、もう届かない距離はあなた。


青白い彼岸花が揺れる。青白い彼岸花が揺れる。

枯れる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る