音色

私には専属のピアノ調律師がいる。

実際私がピアノを弾くわけではないから私の専属というのは違うかもしれない。でも私がピアノの伴奏で歌う場合、そのピアノの調律は必ずその人にやってもらうようにしている。


遠くても来てもらうし、海外で歌うときは同行してもらう。

少しわがままかもしれないが、その人の調律でないと私も本当の力が出せないのだ。


そのことはコンクールで証明済み。いつも世界レベルと言われた私の歌も、コンクールで違う調律師が調律したピアノでは全然ダメだった。


やっぱりあの人が調律したピアノじゃないと、私は上手く歌えない。

別に世界的に有名な調律師なわけではない。


でもあの人が調律した音色は、私にとても心地いい。

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