歌うたいの歌
歌うたいは悲しんだりしない。
歌うたいはもう歌うことをやめたから。
今はギターを爪弾くだけ。
それならきっと悲しくない。
歌に魔法を込められる時代。歌うたいは守りたい一人の人のために歌を歌っていた。しかし愛すべきその人に歌を届けることはできなくなってしまった。幸せにすると誓ったのにそばにいる事ができなかった。
その人はまだ生きているのに、その人は歌うたいが幸せを望んではいけない存在になってしまった。
だから歌うたいはもう歌を歌わない。
今日も通り過ぎる人の中でギターを弾いた。
しかしこの曲を飾る歌はない。
ある人が足を止めた。
「それ、歌詞あるんでしょ?唇、動いるよ」
歌うたいは思わず指を止める。
「悲しい、歌だね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます