第6話

『俺、付き合うことになった。』


帰り道に幼馴染である彼から発せられた言葉は私の心にかなりの衝撃を与えた。


『え?!誰と?!』


『隣のクラスの水野さんと。』


『水野さん?あの大人しそうな?』


『そうそう告白されたんだ。』


『告白されたから付き合うの?』


『悪いかよ。』


『でも…好き…なんだよね…?』


『…。』


無言であることに違和感を覚えた私は彼を責め立てるように次の言葉を発した。


『好きでもないのに付き合っちゃダメだよ。水野さんかわいそうだよ。』


『お前には関係ないだろ。』


彼からの強い当たりにほぼ反射のように否定の言葉を放つ。


『関係なくないよ!』


『なんで?』


『幼馴染だもん!』


『その幼馴染っていうのもうやめない?俺たちもう高校生だし、そろそろ普通の友達でもいいんじゃない?』


『え…?』


『あ、あと俺明日から水野さんと帰るからさ。この際だからこうやって帰るのもやめにしよう。』


それじゃっなんて言って去っていく彼は今までの彼とは違いすぎていて、高速で駆けていく彼に私の頭が追いつくことはなかった。


取り残された私の心には濃い霧がかかっているようで、心から祝福できるはずなのに奥底では彼の恋愛を応援できていない自分がいることをどうしても納得したくなかった

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