第4話

あいつとはこのままいつまでも一緒に入れるような気がしてた。 


子供の頃によくあるおままごとの延長戦で結婚の約束をしてしまうような仲ではなかったけど、なぜか俺はあいつの隣に居るのは一生自分だと高を括っていた。


登校する時間、あいつが楽しげに話すとき、


下校はあまり一緒ではなかったけど、たまたま下足箱の前で一緒になった時、


あいつと一緒に居れる時間が楽しかった。


そして、いつだろう。


俺はあいつが好きなのだと、そう自覚した。


自覚すると同時にあいつが俺をどう思っているのか気になった。


『お前、好きな人居るのか?』


『へ?いないよ~!』


その答えが嘘じゃないことくらい分かってしまうのだ。


あいつは俺には興味がない。ただの幼馴染としか思っていないのだ。


俺も自覚するまではそう思っていたのだから仕方がない。


これから少しずつ行動していけばいいのだと呑気に長期戦を決め込んでいた。


でも、あの時、なぜかいやな予感がした。


HRが始まってしまうというのに窓から裏庭を見渡すとあいつが居た。


なぜか金髪の男子に深々とお辞儀をしていたから、また何か勘違いでもしたんだろうと思い、笑いそうになりながらも様子を見ていると、少しずつ金髪の男子と距離が縮まっていくようだった。


あいつと金髪男子が仲良く話しこんでいるのを見て、少しイラついたけど、もう少しでチャイムが鳴る。そうしたら話しこんでいたとしても教室へ戻るだろうと思っていた。


しかし、チャイムが鳴ってもあいつらは戻る気配を見せなかった。


そのあと、1限のチャイムが鳴るまであいつらはその場所を動かなかった。


体育に遅れて参加したあいつにさっき何を話していたのか聞き出そうとしたけれど、『頑張って!!』なんて言って俺を応援するから、張り切ったせいで聞き逃した。


その日の帰り、たまたま部活がオフだったため、あいつと一緒に帰ることになった。というか、下足箱の前であいつが俺を待っていた。


何か話したそうにずっともじもじしているあいつに何かいいことがあったのか、と思い尋ねてみる


『言いたいことがあるんなら言えよ、さっきから面倒くせぇなあ』


『あ…あのねっ…』


あいつは大事に大事にその言葉を吐きだした。


『好きな人が…できたの』


俺は返事をしてやれなかった。


長期戦だと思っていた俺の初恋は、見事に終わりを告げた。


あいつは俺のことが好きじゃない。


この事実が俺の心に痛々しい傷をいくつもつけた。

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