第3話
『チャイム、鳴っちゃったけど小森さんは行かなくていいの?僕は行く気もないけど…?』
『えっ!え~……私も…サボってみようかなっ!』
少しの罪悪感ともう少しだけ話してみたいという気持ちへの照れ隠しに髪の毛を指で梳いてみた
『いつも綺麗にしてくるのに、今日は跳ねてるんだね』
『え?!』
何の気なしに吐かれた言葉に動揺を隠せなかった
『僕1年生の時同じクラスだった瑞雪渉』
『あ、え?渉君?渉君って私の中では無口でおとなしい子のイメージだったけど…?』
『まあそんなに話すこともなかったしね覚えてないのも当然だよ、小森さんと雨宮さんは席も近かったし、小森さんの声、よく通るから結構聞こえてた、雨宮さんの髪の毛がうらやましいから自分も時間かけて綺麗にしてるって言ってたよね?』
『私癖っ毛だからさ、花ちゃんの髪の毛綺麗でうらやましいから今日も時間かけてセットして来たのに!ゆう君ったら酷いんだよ!髪の毛くしゃくしゃにした挙句変わらないよとか言ってきてさっ!』
『春川くん?』
『そう!おかげで今日はボサボサだよ…』
そう言ってまた同じ場所を指で梳いた。
『反対側、そこ、跳ねてるよ』
『ええ?!』
どこかも分からずに慌てて反対側を抑えてみせると、『ここだよ』と言って彼は髪の毛を梳いて直してくれた
『変わらない…か、でも、そうやって頑張って可愛くなろうとしてる小森さん素敵だと思う。』
そっと猫を抱きあげて『そういうのかわいい』なんて言って無邪気に笑って見せるものだから不覚にも無防備だった私の心にはピンクの矢が刺さってしまったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます