喜読心奈の処遇
「それではキヨミ・ココナの処遇について話し合いたいと思います」
「話し合うって、処分するのではないのですか?」
「処分するのは確定です。ここで決めるのはどう処分するかの方法です」
「方法って殺す以外にあるのか?」
「嘘見抜きを持っているホウゾウジ・コトミがいるので、我々が直接殺すわけにはいかないのですよ」
「あー、確かにそれだと殺すことはできないな。万が一殺したかなんて聞かれたら、すぐにバレてしまうからな」
「それならば、キヨミ・ココナとホウゾウジ・コトミの2人を殺せば良いのではないか?」
「いや、2人を一気に殺していなくなったとなれば、他の人間も流石に怪しむのではないか?」
「確かにそうだな」
「ではなぜ、ホウゾウジ・コトミではなくキヨミ・ココナを殺すんだ?ホウゾウジ・コトミを殺すでも良いではないか?」
「それはキヨミ・ココナの能力の方が厄介だからだ。キヨミ・ココナは我々の考えていることがわかるのに対して、ホウゾウジ・コトミは我々が嘘をついているかしかわからない。それならば、殺す方はすぐに決まるだろ」
「そ、そうだな。余計なことを聞いた」
「いや、気にしないでくれ。それにもう一つ理由がある」
「もう一つあるのか?」
「ああ。もう一つは、キヨミ・ココナが他の人間と馴染めていないということだ。それならば、いなくなったとしても対して気にする奴なんていないし、引き剥がすことも簡単だろう」
「確かに」
「それなら、いらなくなった奴隷同様に魔族領に捨てれば良いのでは?」
「それが一番かと思います。ただ、どんな理由をつけて捨てるかです。他の召喚者には我々が捨てたということを悟られてはいけません」
「確かにそうですね。少しでもおかしいことがあれば、ばれてしまいますし」
「それならどんな理由にします?」
「今、思いついたのは王都に移送中に魔族に襲われ、攫われるというのはどうでしょうか?」
「お、良いんじゃないですか。それにそれならば、今拘束中の魔族も利用できますね」
「おお、確かにそれなら面倒なことを一気に2つも解決できるな」
「ちょっと待ってください」
「なんだね。今、どうするか纏まってきたところじゃないか?何か不満でもあるのかね?」
「不満ではありません。私もその案には賛成です」
「ではなんだね?流れを止める必要があったことなのかね?」
「はい。それは良いのですが、どんな理由で王都に移送することにするんですか?先にそちらの方が重要なのでは?」
「た、確かにそうだったな。それではそちらを先に考えますか」
「なら、こういうのはどうですか?キヨミ・ココナの能力は戦闘向きではないため、戦闘の最前線ではなく、中心部にいた方が良いため移動させるというのはどうでしょうか?」
「確かにそれは良いな」
「そうですな。それならば嘘はつかなくても言えるな」
「それでは、キヨミ・ココナは能力は非戦闘向きであるため戦闘の最前線ではなく、王都での活躍が見込めるため移動させるということでよろしいですか?」
「それでいきますか」
「では、明日にでも発表して明後日の移送中に魔族に襲わせるというで良いですかな?」
「よし、それで決定ですな」
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