第514話 キングはキングでもで九尾なのじゃ

【前回のあらすじ】


 キング白アリの襲来により、桜家は乗っ取られてしまうのであった。


「ていうか!! なんだよキング白アリって!!」


「まぁ、ワイもキング歩きダイコンになったことにあるから」


「この世界設定のガバガバ感、なんとかするのじゃ!!」


 なんでもキングつければモンスターっぽくなるじゃないですか。

 そういう軽い感じで一つ。


「「一つじゃない!!」のじゃ!!」


◇ ◇ ◇ ◇


【モンスター キング白アリ: キングサイズに大きくなった白アリ。放射線による異常進化が原因と目されている。どんな世界でも放射能汚染は生態系に深刻なダメージを与えるのだ。まだ二足歩行になったり、喋らなかったりするだけマシ。火を吹いたらもう訴訟沙汰ですよ。とにかく、そういうモンスターである。あと、白アリだから普通に柱を食べますガジガジ】


「……キング白アリってあーた。そんなまたどうしてそんなのがウチに」


「なの。そういう季節なの。アリさんが入って来ないように、殺虫剤を家のあちこちにまいておかなくちゃなのに、庭の管理で忘れてたの」


「くぅーん」


 ごめんなさいと言う感じに頭を下げるなのちゃんとドラコ。

 まぁ、悪気があった訳ではないのは間違いない。


 というかこんな純粋な子供たちに悪気などあろうはずがない。


 そもそも、やっと手に入れた安息の家である。

 それをむざむざ奪われるようなこと、する訳がないだろう。


 だったら本当に油断したのだろう。


「なの。なのたちが住んでた時は、完全にモンスターのお家になってたから、あっちも気を使って攻めてくることはなかったの」


「くきゅるきゅるるーん」


「けど、桜お兄ちゃんたちが住むようになって、綺麗にしちゃったから、それで、キング白アリたちが家に目をつけて。気がついたらこんな感じになっちゃってたの」


 なるほどなぁ。

 十割、俺たちの同居が悪いんじゃないか。


 なのちゃんたちに瑕疵はない。

 それは、もはや、いちいち確認するまでもなくはっきりした。

 さて、そうと決まれば、やることは決まっている。


「なんていうか、もう、ほんと十割シティアドベンチャーだな」


「せやなぁ。しかも、白アリ退治て。向こうの世界でもできることやん。ほんま、ファンタジーの匙加減が下手糞いうかなんというか」


「のじゃのじゃ。けどまぁ、それもまた一興。任せるのじゃ。わらわこれでも、そういう清掃会社で働いていたこともあるのじゃ。シロアリ駆除、スズメバチの巣の駆除、なんでもござれなのじゃ」


 頼もしく腕を組んで尻尾を出す加代。


 やはり職は人を助けるということか。

 頼もしい彼女の発言に、俺は大いに頷いたのだった。


 まぁ、ここは彼女を頼ろう。


「さてまぁ、異世界白アリ退治と行きますか」


「柱、折れてへんとええけどなぁ」


「のじゃ。ちゃちゃっと除去して補強してしまうのじゃ」

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