第473話 神々についてで九尾なのじゃ「
【前回のあらすじ】
異世界の駄女神アネモネちゃん、満を持して再登場。
読者のみなさんお待たせいたしましたー。ダメ可愛くってごめーんね。
」
「……地の文っぽく見せかけて、台詞喋るのやめません?」
「やだ、バレてた。いけね、テヘペロぉー♪」
という訳で、カジノに来ていた桜は、この騒動の発端にして全ての元凶、駄女神のアネモネと再会したのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
「まぁ、異世界転移モノのストーリー類型の一つとして、元居た世界に戻りたいっていうのは王道の中の王道よね。ナルニ〇国物語から続く伝統と言っても差し支えないわ」
「またそんな古臭い作品を持ち出して来て」
「映画化はつい最近の話じゃない」
いや、映画化も最近だっただろうか。
割と十年くらい前だったような気がするけれど、気のせいだろうか。
すると女神。
細かいことは気にしないと、ウィンクして誤魔化してくるのだった。
言うほど細かいことではないように思うのだが、女神的には、十年なんて些細なものなのかもしれない。なんにしても、彼女の言う通り、細かく追及すると藪蛇のような気がしたので、俺もそれ以上のことは彼女に言わなかった。
さて、それは、それとして。
「どうすればいいんだよ。というか、お前は女神なんだろう。もういっそ、その女神の力で、俺たちを元の世界に戻してくれればいいじゃないか」
「うーん。それはちょっと、システム的に難しいのよねぇ」
「なんだよシステムって」
「神様の世界のシステムって所かしら。まぁ、貴方たち人間の概念で説明すると、私たち異世界転移の女神は、あっちの世界で言う所の派遣会社なのよね。あくまで、こちらの世界に転移する魂を選別するのが仕事であって、その転移先での業務内容については、口を挟む権限がないのよね」
なんだよその生々しいシステム。
できることなら聞きたくなったと、ちょっと吐き気が出てくる感じだぞ。
というか、まんま派遣業じゃねえか。
そんなブラックな存在なの異世界転移の女神って。
思わず、ほぼ派遣のような働き方をしていた、前々々職のことを思い出して胸やけがしてしまった。あら、刺激が強かったかしらと、けろっとした顔をしていう駄女神に、苦い顔を向けると、彼女はサディスティックな笑みを浮かべた。
こいつ、分かっていて言いやがったな。
本当に性質が悪い――。
しかし、なるほど話は見えた。
「つまるところ、この世界で何をすれば、異世界転移が終了するから――仕事の詳細については人を派遣するだけのアンタは知らないということか」
「そういうことそういうこと。いやぁー、人が欲しいと言われて急いで用意したけれど、彼らがその先で何をしているかなんてわからない。それは私の職務外なのだ。あぁ、素晴らしきかな、効率化された分業システム」
「……最高に皮肉の効いてる話だな。というか、そもそも派遣する際に、業務内容くらい聞くだろ、派遣会社は。お前の怠慢だろ」
「やーん、桜くんたら辛辣ぅ!! なになに、向こうの世界に居た時からそんな感じだったのぉ!? だったら貴方――さぞ生きづらかったんじゃない?」
うっせえほっとけ。
ブチギレの桜で長らく通って来たんだ、言わずとも察しろってもんだろう。とやかく言われる筋合いもなければ、言われたいとも思わない。
そもそもそんな感想、俺もアンタに求めちゃいない。
俺は赤い髪を気だるげに撫でる女神を更に強く睨んで、そして話の核心に切り込んだ。つまり、この異世界転移を終わらせる方法を知っているのが、いったい誰なのかという、そういう話を――。
「つまり、俺はこの世界を管轄している神様に会って、どうすればこの異世界転移が終わるのか、それを聞きださなくちゃならない――と、そういう訳か」
「ご明察」
女神が笑う。
しかしながらその笑みには、それまでにあったサディスティックな雰囲気は、もうなくなっていた。それが彼女の言葉の通り、話の核心を俺が思わず突いてみせたからか、それとも、彼女が何か更に考えているからなのかは、残念ながら分からなかったが。
しかし、やはり、なんにしても。
「……腹の立つ女神だ」
「女神なんてぶっ壊れキャラしててこそでしょ。もう、流行に対するアンテナが古いZO☆」
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