第449話 なんとか誤魔化してで九尾なのじゃ
【前回のあらすじ】
「家族が増えるで!! やったね、
歩きダイコン、大根太郎は37のダメージを受けた。
◇ ◇ ◇ ◇
という訳で。
「無事、家の中のモンスターは退治しました!!」
「のじゃ!! これで、家に住んでも問題ないのじゃ!?」
「えっ? いや、なんか、まだ蔦とか残ってますけど、本当に退治したんですか? え、ちょっと、嘘吐いてるんじゃないですか?」
「嘘など吐いていない!! 僕たちがそんな性悪な人間に見えるかね!!」
「見えるのじゃ!? とにかく、家の中のモンスターは退治したのじゃ!!」
「……嘘くさいなぁ。ちょっと、家の中を見せて貰ってもいいですか?」
家の中を確認しようとする街の職員さん。
そんな彼の前に立ちふさがって、おっと待ってくださいと、俺と加代はブロックした。
当然、家の中には大根太郎と
とてもじゃないが、街の職員さんを入れるわけにはいかない。
わけにはいかないが、突然入ろうとするのを遮って、疑われない訳がない。
ますます猜疑の眼を強める彼に、どう誤魔化したものかと思いあぐねいて俺は――。
「実は、ここ最近夜の方がご無沙汰でね!! モンスターを倒した勢いで盛り上がっちゃったもんだから仕方ないよ!! 中に入るとちょと見せられないことになっていてさ!!」
ちょっと強めの嘘を吐いた。
割と、自分でも何言ってんだという嘘を吐いた。
うん。
なに言ってんだ俺は。
アホか。
しかし、嘘を一度吐いたなら、吐き続けなければならないのがこの世の理。
そしてこういうのは連帯責任。俺はすぐに目で加代さんに合図を送った。
加代さん、顔を赤らめながらも――俺の嘘に付き合ってくれた。
「……のじゃ!! そうなのじゃ!! ちょっとハッスルしちゃって、入られると少し恥ずかしいのじゃ!! プライバシーを考えて欲しいのじゃ!!」
「……け、ケダモノ!!」
顔を真っ赤にして、信じられないという感じで俺と加代さんを見る街の職員さん。
そうなんだけれど。
実際一人はケダモノだけれど。
そんな汚いモノでも見る様な視線を向けなくてもいいじゃないフォーックス。
◇ ◇ ◇ ◇
「という訳で、なんとか街の職員さんは誤魔化せた」
「のじゃぁ。いい赤っ恥を掻いたのじゃ」
「ありがとうなの。さくらお兄ちゃん、かよお姉ちゃん」
「きゅるるぅ!!」
ぎゅっと俺に抱き着いてくる
あぁ、なんて微笑ましい光景だろうか。
ちくしょう、こんなかわいい子のためなら、そら、男だったら頑張るでしょう。
いいんだよいいんだよと言いながら、俺は
「のじゃ、桜。鼻の下を伸ばし過ぎなのじゃ」
「おやおや加代さん、嫉妬でございますか。子供相手にちょっと本気すぎやしませんかねぇ」
「あっ、ごめんね、かよお姉ちゃん。お兄ちゃんのこととっちゃって。すぐかえすね、けどその前に。かよお姉ちゃんもありがとー」
「のじゃぁ!! かわいいのじゃぁ!! 天使なのじゃぁ!!」
自分もデレデレに鼻の下を伸ばす加代さん。
そういう感じで、俺の中で何かこう、がっちりとピースがハマったのだった。
そして――。
「ワイもワイも!! ワイも愛してるでカヨちゃ――ぼげぶ!!」
「なにどさくさに紛れて、人の嫁の尻を触ろうとしてるんだスケベ大根!!」
もう一人の同居人を、俺はしばき倒すのだった。
さて。
なんのかんので、こうして家も無事に持てた。
頼り甲斐はあるのかないのか微妙だが、同居人というか仲間も手に入れた。
しかし、これより問題は――。
「いきなりこんな大所帯になって、食事とか、生活費とか、大丈夫なんだろうか」
「それなのじゃな」
元居た世界で、貧乏暮らしをしていた俺達には、唐突に跳ね上がったエンゲル係数を、なんとも不気味に感じずにはいられないのだった。
特にその、ドラゴンの食費がやっぱりね。
加えて――。
「こっちはお仕事、すぐにクビになる九尾付きだしなぁ」
「のじゃぁ!! そういう言い方ないのじゃ!!」
俺たち、無事に生活していけるんだろうか。
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