第99話 のじゃ狐グルーミンで九尾なのじゃ★

【前回のあらすじ】


 白くて喋る馬がでてきたけど○キバオーとは関係ないのねん。

 そしてやっぱり加代の奴がからんでいたのねん。

 それはそうと、Webコンの一次選考通ったのにこんなパロディしまくってて、この作品は大丈夫なのかなのねん。


====


「のじゃのじゃ。何を隠そうこの加代さん、地方競馬の騎手免許を持っているジョッキーお狐なのじゃ」

「いまさらお前がどういう職歴持っていようが驚かんが、そうかい、狐のくせに馬にも乗るのかお前は」

「ゴール前ぎりぎりで勝ち切るスタイルから、クビ差の加代ちゃんさんジョッキーと地元では呼ばれていたんですよ」


 白い馬のことばににょほほと気をよくして上を向くのじゃ子。

 はいはい、お前がバイタリティに溢れるお仕事大好きお狐なのは分かったから。どんなに特殊な技能持ってようが、食っていけなきゃなんとやら。そんなえばることではないっての。


「で、二人はどういう関係よ」

「のじゃのじゃ。ハンソクオーは、その地方競馬で所属していた厩舎きゅうしゃで、わらわが担当していた馬なのじゃ」

「初レースから何度かお世話になったんですが、加代ちゃんさんジョッキーが都会に出るっていうんで、泣く泣く別れたという」

「のじゃ。地方はなかなかお仕事ないからのう。悪いことをしたのじゃ」


 なんだよ珍しく自分から辞めたのか。

 もったいない。才能があったんならそれに甘んじてればよかったのに。なんて、本気で思ってしまうのは、このアホ狐が、さんざこっちで失敗しているのを見ているからか。柄にもなく、人の気持ちになっちまった。


 ハンソクオーが藪から飛び出してきたそこは、国土の狭いシンガポールに唯一ある競馬場ことクランジ競馬場。日本ではあまり知名度はないが、国際G1レースも開催される由緒ある競馬場である。


 そんな所に、どうして地方競馬所属の馬がふらついているかといえば、そのレースに出にやって来たということらしい。


「いやぁ、しかし、こうして遠い地にまで呼ばれるなんて、ハンソクオーも随分と立派になったのじゃ。元担当ジョッキーのわらわとしても、鼻が高いのじゃ」

「んあぁっ!! 加代ちゃんさんジョッキーにいろいろと仕込まれたおかげなのねん」

「さっきっまで標準語だったのにいきなり戻るのな、このエセ○キバオー」


 パロるならパロるでちゃんと仕込んでおけ、と、思うのは俺だけだろうか。


 すると、そんな俺のツッコミにしょぼくれたのか、ハンソクオーが暗い顔をした。

 ウマなのに。


 やれやれ、狐の相手をするうちに、馬の表情まで読み取れるようになるとはね。

 これがあれかチート能力って奴か。いらんわ、こんな無駄な能力。


「けど、ここに来て問題が起こってしまったのねん」

「どうしたのじゃハンソクオー? わらわでよければ力を貸すのじゃ」

「おいこら、勝手に話を進めんなお前、どうせまたややっこしいことに――」


「実は俺と一緒にシンガポールにやって来たジョッキーが、時差ボケと食あたりで体調を崩してしまいまいしてね、明日のレースに出られそうにないんですよ。海外ですから代わりの騎手なんて見つかるはずもありませんし、こうしてシンガポールにやってくるだけで結構な費用が発生している訳で、むざむざレースを棄権するにももったいない。それでどうしようかと思っていたところに、こうして加代ちゃんさんジョッキーと運命の再会を果たしたという訳でして」

「馬鹿っぽい喋りから、いきなり流暢りゅうちょうにすらすらと喋り出したな、おい」


 仕込みか、これ、またなんかの仕込みなのか。

 俺はライオンディレクターを睨む。


 違う違うとディレクターは首を横に振ったが、相変わらずハプニングを心の底から楽しんでいる笑顔であった。

 ちくしょう、お前、こういうハプニングを整理するのが、ディレクターの仕事じゃないのかよ。


 仕方がない、ここは俺が止めるしかない。

 と、思った矢先。


「のじゃ、安心するのじゃハンソクオー!! ここで会ったのも何かの縁、この加代さんが力を貸してあげるのじゃ!!」


 俺が止めるよりも早く、ぽんぽんと、のじゃ子がハンソクオーの首を叩いていた。


 本当にもう、お前は。

 そうやって何でもかんでも首を突っ込むんだから――。

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