第22話 巻頭グラビアで九尾なのじゃ

「見るのじゃ桜よ。わらわが少年漫画雑誌の巻頭カラーを飾っておるのじゃ」


「なんでお前、俺の部屋に普通にいついとるん」


「にょほほほ、まさかモデルの仕事なんぞ、この歳でするとは思っておらんかったわ。しかもこんな水着モデルなぞ」


「なんで、お前、俺の部屋に普通に、いついとるん」


「しかしなんじゃなぁ。こうして改めて写真になってみてみると、わらわもまだまだ捨てたものではないのう」


「なんで、お前、俺の部屋に、普通に、いついとるん」


「ほれ、このポーズなぞ、よく決まっておるじゃろう。全国の中高生どもが鼻血を出して貧血になってしまうわ。にょほほほ」


「なんで、お前、俺の、部屋に、普通に、いつい、とるん」


「のじゃ。なんじゃ、いきなり。人がせっかく自宅でくつろいでおるというのに。はい、もしもし、加代なのじゃ」


「ナンデ、オマエ、オレノ、ヘヤニ、フツウニ、イツイ、トルン」


「なんじゃマネージャーさんか。おつかれなのじゃ。なにかあったかのう。なに、グラビアの仕事があんまり不評で返本の嵐!? 苦情殺到――のじゃぁっ!?」


「ナンデ、オマエ、オレノ、ヘヤニ、フツウニ、イツイ、トルン」


「こここ、このままだと損害賠償請求されて、事務所が火の車!? なんでじゃ、なんでそんなことになったのじゃ!?」


「NANDE、OMAE、ORENO、HEYANI、FUTSUUNI、ITSUI、TORUNN」


「胸。胸が小さくて実用性に耐えない――のじゃぁっ!! だからフォ○ショップでちゃんと盛るように言っておいたのじゃ!!」


「いや、普通にお前が胸盛って化ければいいだけだろ、九尾の狐!!」


 あまりにお約束なオチ過ぎて、俺は即座に我に返った。


 だがしかし、問題は何一つとして、解決していない。


 なんで、お前が、俺の部屋に普通に居ついとるんだ。

 おい、フォックス。お前はいったい俺のなんだというのだ、駄女狐。


「これから記者会見を開いて事態の収束を図る? 分かったのじゃ、すぐ行くのじゃ!! そういうことなのじゃ、桜、留守番を頼んだのじゃ」


「だから、ここは俺の家だっての!!」


 勝手に同棲相手みたいに扱わないでくれ。

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