第2話 誰か貰って下さい。

処女を捨てたからって長谷山先輩が私と付き合ってくれるわけではないわけで。


早まった行動を起こすのはあまりに頭が悪すぎる……。


そんな事は解ってる!


だけど、私は処女を大事に守ってきたつもりはない。


気付いたら、こんな歳まで連れ添っただけのこと……。


チャンスはこれでも何度かはあった。それをことごとく自分で潰してきただけ。


今は頭に血が上って冷静な判断が出来てない、だからこのまま自棄ヤケになって行動すれば、どんな変態禿オヤジが初めての相手になるか解ったもんじゃない。

……と、1が冷静に考えられていたらと、私は後悔している。


『地域の出会いコミュニティー』とかいう掲示板に書き込んでしまった。


処女、誰か貰ってください。

28歳、中肉中背、これといって特徴もない普通の女です。宜しくお願い致します。


なんて事を、頭に血が上った1分前の私は書き込んでしまったのだ。


慌てて削除依頼を出したけど、削除に時間がかかるようで、私のしょうもないこの書き込みはしばらく晒されることになる……。


「顔が可愛けりゃギリいけるかもw」

「28で処女?イタタタタ~」

「28の処女はイラネ」

「腐りかけの処女イラネ~」

「腐りかけw腐った処女よりマシレベルww」


などと、痛烈に叩かれてる。


どうやら変態禿オヤジにすら相手にされないらしい。


それはそれで、ちょっと泣きそう……。


処女でも、若けりゃいいんだ?

28歳でも、非処女だったらいいんだ?


佐田麻衣子、28歳の処女。

自ら晒し者になり批判だけされて、誰にも相手にされず、屈辱的な夜でした。



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