第二章 第三話
前略 シャーリー殿
我が
よく聞け。
規律があってこその自由、義務があってこその権利だ!
精神の
バルクホルンより
* * *
前略 バルクホルンへ
別にカールスラントを
ミーナは尊敬に
あたしがピンポイントでからかってるのは、
精神の緩みきったシャーリーより
そうそう、こういうジョーク、知ってるか?
カールスラント人は、軍人的で、知的で、誠実である。
ただ、誰もがその美徳のうち、二つしか持っていない。
軍人的で知的なら、誠実ではない。
知的で誠実なら、軍人的ではない。
誠実で軍人的なら、知的ではない。
* * *
前略 シャーリーへ
つまらんジョークなど書いて
それに、融通の利かない誰かさんとはなんだ!
この際だから言わせてもらう!
シャツのボタンをきちんと留めろ!
待機中に
格納庫を水着でうろつくな!
ルッキーニの教育に悪い!
バルクホルンより
* * *
前略
やなこった。
脳みそ筋肉、カッチンカッチン。
シャーリーより
* * *
前略 ぶったるんだシャーリーへ
筋肉で結構!
そっちこそ、お
バルクホルンより
* * *
口うるさいバルクホルンへ
知らないのか?
ケチャップは意外と栄養価が高いんだぞ?
シャーリーより
* * *
塩分と
それとも、もう
バルクホルンより
* * *
強情なバルクホルンへ
代謝がいいから、健康状態に問題はないよ。
空飛ぶ
シャーリーより
* * *
人類の敵、シャーリーへ
貴様、それが一人前の軍人の言葉か!
このスイカ胸!
バルクホルンより
* * *
へえ、このナイスバディ、
光栄だね。
セクシー・シャーリーより
「だ、
手紙を読み終えたバルクホルンは、ワナワナと手を
「もう、二人とも子供みたいよ」
「ていうかさ、一方的に言い負かされてないか?」
ハルトマンは
「……負かされる、だと?」
メデューサもかくやという目つきで、バルクホルンは
「
「……仕留めてど〜するのさ?」
「あらあら」
もう付き合ってはいられないと、顔を見合わせるハルトマンとミーナだった。
* * *
「……おかしい」
「何が〜?」
ソファーで雑誌を読みながら、うつ
「私がこの前手紙を出してから半月にもなるのに、シャーリーの
窓の外を見るバルクホルン。
「航空便だぞ? とっくに来てもいい
「もう
ソファーをクッキーのカスだらけにしたハルトマンは、垂直に上げた両足をプラプラと振る。
「勝負を
バルクホルンは、左の手のひらにこぶしを打ちつけた。
「勝負って……」
パチパチと
「バルクホルン
「
手紙を乱暴に引ったくるバルクホルン。
「す、すみません!」
兵士は悲鳴を上げ、
「あ、いや、お前のことを
「ひいいいいい〜っ!」
バルクホルンは
「お、おのれ、シャーリー! あいつのせいで、とんだ
「いや〜、それはシャーリーのせいじゃ……」
あ〜あ、という表情でハルトマンは
「とにかく良かったわね、お待ちかねが来て」
ミーナは口元に手を当て、
「べ、別にお待ちかねじゃない!」
力いっぱい否定しながらもどかしそうに
バルクホルンへ
返事が
この2週間、ネウロイの
今は小康状態だけど、医師によると、あと何日持つか分からないそうだ。
「……
バルクホルンは真っ青になった。
「待ってろ、すぐに行くからな! 絶対に、絶対に死ぬなよ!」
ストライカーを
「…………もう」
その腕を、
「は、放せ、ミーナ!」
「慌てないの」
「しかし!」
「いいから」
ミーナは手紙の先を読むようにうながした。
な〜んちゃって。
こっちは元気だよ。
ちょっと
あはははは!
悪かったけど、
でもさ。
それがゲルトルート・バルクホルン大尉のいいところ。
みんなに好かれる理由も、きっとそこにあるんだろうな。
尊敬の念を込めてシャーリー
「こ、こ、こいつ! 許さ〜ん!」
読み終えたバルクホルンは、ワナワナと
「
「……結局、やり合ってんの、好きなんじゃん」
頭の後ろで手を組んだハルトマンは、そそくさとライティングデスクに向かうバルクホルンの背中を見つめ、肩をすくめる。
「ほんと、仲のいいこと」
ミーナもクスリと笑うと揺り椅子に
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