第四章 第三話
その
数時間前までミーナたちがいた
「おい、ボブ、
中年男の方が、カメラを構えた男に声をかける。
「ええ、バッチリっすよ、キャップ! 今までは、ピンボケのお
自信たっぷりでシャッターを切り続ける男。
「だといいがな」
キャップと呼ばれた男、トリビューン紙の編集長、ジョージ・オーウェルは、写真誌『ライフ』から借りてきたカメラマンに向かって、疑いの目を向ける。
「キャップのお気に入りのロマーニャ
「ば〜か、誰のお気に入りだ!」
と、
「ま、ミーナ隊長、こっちもただじゃ動かないんでね。提供した資料に見合う記事は書かせてもらいますよ」
* * *
「コアは赤城の機関部だ」
『赤城』から
「側面からは
と、ミーナ。
「内部を知っている私が行く!」
真っ先に名乗り出たのはやはり坂本。
だが、
「私が行きます!」
「私も行きます!」
すかさず芳佳とリーネが名乗り出る。
「わ、私も内部なら多少分かりますわ!」
ついさっきまで『赤城』に乗っていたペリーヌも。
「ありがとう」
「うっ! べ、別にあなたのためじゃありませんわ!」
ペリーヌはフンッと鼻を鳴らした。
「ペリーヌ、お前がついていてくれれば心強い」
「え? は、はい!」
坂本に言われ、ペリーヌの顔は
「では、その他各員は三人の
ミーナは決定した。
「了解!」
「攻撃開始!」
雲の上に出た『赤城』に向かってウィッチたちは攻撃を
「
両手にMG42で、やる気満々のバルクホルン。
「にひひ……!」
そんなバルクホルンを出し
「あ、こら!」
「先行くよ〜!」
固有
「私の仕事を!」
バルクホルンも派手にトリガーを引きまくった。
「右だな」
こちらは、予知の魔法を使うエイラ。
「うん」
相手の
ビュン!
先ほどまで二人がいた位置を、ビームが通過する。
「上だな」
「うん」
ビュ!
今度は、二人の足のすぐ下である。
「
「うん。
どんな激しい攻撃を加えようと、心がひとつとなったエイラとサーニャを落とすことは不可能だった。
「攻撃が弱まったぞ!」
やや上空、少し
「行っちゃう〜?」
不敵に笑ったルッキーニは、シャーリーの胸に頭を乗っけた。
「ゴーッ!」
ルッキーニを
「行っけ〜っ! ルッキーニッ!」
シャーリーは、ルッキーニの
「あっちょ〜っ!」
多重シールドを張ったルッキーニは、ビームをものともせず突撃。
固有魔法の光熱攻撃でウォーロックを破壊し、船首に大穴を開ける。
突破口が開いた!
「ほにゃ〜っ!」
傷ひとつなく
「ルッキーニちゃん!」
「芳佳、行っちゃえ〜っ!」
「行きますわよ!」
「うん!」
「はい!」
芳佳とリーネは後に続いた。
「
三人が内部に潜入してすぐのところに、進路をふさぐ隔壁があった。
「リーネちゃん!」
「はい!」
ドゥ!
リーネの対
これでまず通路を確保、と思ったのも
「!」
次の区画では、芳佳たちは激しいビームにさらされた。
芳佳もリーネも、
「ちょっ! 武器を失うなんて!」
これで攻撃が可能なのは、ペリーヌひとりだけだ。
ビームをシールドだけでやり過ごし、三人はさらに奥へと移動する。
「この奥ね」
またも障壁。
だが、今度はおそらく最後の障壁だ。
ペリーヌは機関室前の扉に向かってトリガーを引いた。
ダダダダダダダダッ!
だが、ペリーヌの武装は
隔壁はびくともしない。
「この銃じゃ無理ですわね」
ペリーヌは銃を投げ捨て、隔壁の前に立つ。
「そんな!」
「ここまで来たのに」
と、
しかし。
進み出たペリーヌの背中は、自信に満ちていた。
「ペリーヌさん……?」
「最後に取っておくつもりでしたのに」
そして。
「トネール!」
芳佳たちは『赤城』の中心部へと乗り込んだ。
「っ!」
三人が目にしたのは、今まで見たことのないほど
ウォーロックと『赤城』を取り込んだコアは、三人の眼下で
だが、今の芳佳たちに、コアを破壊できる武器はない。
(ここまで来て)
と、
だが。
(……あった。ひとつだけ)
芳佳はすっと、コアの方に身を乗り出した。
「芳佳ちゃん!」
「宮藤さん、何をする気ですの?」
リーネとペリーヌは
「リーネちゃん、ペリーヌさん、私を支えて」
芳佳は二人に両手を
ストライカーは芳佳の足から
「ありがとう」
(今までありがとうね、お父さんのストライカー……)
パーン!
ストライカーが命中すると、巨大なコアは
「やったな」
芳佳たちがやり
『赤城』は白い
そして、雲の下に出たあたりで、
「……あ、芳佳だ!」
と、ルッキーニが手を
「芳佳ちゃん」
芳佳を
「ふん」
何でこの私がこんな
と言うように
「やった! やったよ、芳佳ちゃん! 芳佳ちゃんがやっつけたんだよ!」
「う、うん」
「あれは……」
振り返ったペリーヌは、自分の目を疑った。
ガリアを
「ネウロイの巣が……」
「消えてゆくぞ!」
と、坂本とシャーリー。
「んんん〜……勝ったああああああああっ!」
ルッキーニが右手を高く突き上げる。
「ガリアが……私の故郷が……解放された」
この時のために戦ってきたペリーヌである。
今は、自分の
「すごい! すごいよ、芳佳ちゃん!」
「うん」
これでネウロイと分かり合える機会も消えてしまった。
そう思うと、気持ちは複雑な芳佳ではあったが……。
「……終わったな」
「ええ」
坂本を振り返り、
「ストライクウィッチーズ、全機、
「
* * *
1944年9月。
ガリア地方のネウロイの完全
これをもって、正式に第501統合
その後。
ミーナ、バルクホルン、ハルトマンの三名は、祖国カールスラントの防衛戦線に復帰。
エイラ、サーニャの両名は、東部戦線へ。
シャーリーとルッキーニは、アフリカ戦線へ。
ペリーヌとリーネは、
そして……。
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