第二章 第三話
「まだ、出てこないね」
巣の前で待っていたルッキーニは、
もうかなりの時間が
ウィッチたちの顔にも、不安が
人型ネウロイが、瞬間移動でもしたかのように、
「さっきの
と、ハルトマン。
「芳佳は?」
芳佳の姿を探すルッキーニ。
「いない。やっぱり罠か!?」
バルクホルンは
「ブレイク!」
「
ミーナの指示で、みんなは四方に散った。
だが。
人型はウィッチたちの動きに反応しようとはしなかった。
まるで、何かの到着を待っているかのように。
そして。
ブワンッ!
流線形の、銀色の飛行体だ。
「何っ!」
バルクホルンたちの目の前で、それは急ターンすると人型ネウロイに向かって
その白い煙を
反撃に出たネウロイは、両手から全方向に向けてビームを放った。
「くっ!」
ウィッチたちは、巻き込まれるのを防ぐので
「こんなすごいビーム、初めてだよ!」
「キツイね」
ルッキーニもシャーリーも、
「さっきのは!?」
「何だ、あいつは!?」
Wエースは先ほどの銀色の機体を探す。
「あれは……」
魔法力を使い、機体を発見するミーナ。
さらに。
人型に変形した謎の機体は
「ビームだよ!」
「あいつもネウロイなのか!?」
ビームは人型を一瞬で消し去ると、そのまま後方のネウロイの巣を
「ああああっ」
「あいつ、強いぞ!」
「何なんだ、あいつ!? ネウロイを
シャーリーもこんな戦いは初めて見る。
「分からん」
敵か味方かさえ、今のバルクホルンには判断ができない。
「あのビーム、とんでもない
これと比べると、今まで戦ってきたネウロイのビームなど、子供の水鉄砲のようだ、とまでシャーリーは言いたくなる。
「なあああああああっ!」
その時。
ルッキーニが落ちてゆく芳佳に気がついた。
ビームの
「芳佳!」
「宮藤!」
追うルッキーニとシャーリー。
そんな
謎の機体は再び飛行形態に変形すると、いずこかへ去っていった。
* * *
同じ
「
「もうちょっと奥まで……よし、いいぞ、そんな感じだ」
坂本とペリーヌが
突然、サーチライトがついた。
「きゃっ!」
身をすくませるペリーヌ。
「……始まったか」
* * *
「芳佳、
「うん……」
意識を取り
「あのネウロイは……?」
と、ミーナに問いかける芳佳。
「宮藤
(とにかく、今できることは宮藤さんの
「無許可
(宮藤さんを司令部には……マロニー大将には
「え」
司令部の下した
「帰投します!」
急ぎ、基地に戻るウィッチたち。
だが。
「あれ、
そして、兵士たちの中心に立つのは……。
「ご苦労だった、ミーナ
降り立ったミーナに向かって、体格のいい
(この人……)
芳佳はミーナに対する
ギューン!
先ほどの
ガチャン!
男の背後にゆっくりと降りた。
「さっきのだ」
と、ハルトマン。
兵士たちは芳佳たちを囲むと、
「……」
男の口元が、暗い
「まるでクーデターですね、マロニー大将」
ミーナは男を真っ
「辞令に
マロニーは書類を
「この基地は、これより私の配下である第一
「ウォーロック?」
眉をひそめるミーナ。
格納庫入口付近ではペリーヌが押す車椅子に乗った坂本が、兵士に軍刀を取り上げられている。
リーネ、エイラ、サーニャも呼び出され、マロニーの前に並ばされる。
「ウィッチーズ、全員集合かね?」
マロニーは一同を満足そうに見渡すと、芳佳の前に歩み出た。
「君が宮藤芳佳軍曹か?」
「はい……」
「君は軍規に
「えっ……」
ミーナはなるべく大事にならないよう、帰隊の意志がある無許可離隊という表現を使ったが、自分のやったことが脱走という重罪に問われる可能性があることに、芳佳は今、初めて気がつく。
「軍規……」
「ふっ」
ほくそ
だが。
「あっ……その後ろの」
芳佳は思い出した。
ネウロイの巣の中で、人型ネウロイが見せてくれた映像に、あの機体が映っていたことを。
そうなると、もう芳佳の頭からは自分の脱走の件などふっ飛んでしまう。
「ふふっ、ウォーロックのことかね!?」
と、マロリー。
どうやら、この謎の機体は部隊名と同じ名前のようだ。
「私、見ました! それが、ネウロイと同じ部屋で、実験室のような部屋で!」
芳佳は言った。
「!!」
それまで得意満面だったマロニーの顔色が、
「何を言い出すんだ、君は!」
「でも私、見たんです!」
「……」
「……」
芳佳の言葉に反応するミーナと坂本。
「質問に答えたまえ。君は脱走をした。そうだな?」
マロニーは
「はい、でも……」
「中佐、私は脱走者は
マロニーはミーナを見る。
「はい。ですが……」
「隊員は脱走を
マロニーは手を背中に組んでウォーロックの前まで戻ると、
「本日、
「えっ!」
他の隊員も同様だ。
「各隊員は、
「……
今、ここで反論するのは得策ではないことを
「そんな……解散……ウィッチーズが……」
「君の独断専行が原因なのだよ、宮藤
マロニーはいたぶるように芳佳に言った。
「えっ!」
こんな結果を招くとは思ってもみなかった芳佳は、言葉を失う。
「私……でも……私……」
「安心したまえ。ネウロイはこのウォーロックが
勝ち
芳佳は意識を失った。
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