インターミッション - ワレ等、奇襲ニ成功セリ!
「今夜だけだかんな」
今日も今日とて。
「本当に今夜だけだぞ」
と、言いながらも。
サーニャの寝相を直し、服を
それに合わせて
「これで……よ〜やく」
と、ベッドに入ろうとしたその時。
バタン。
「な、な、な、な、な、な、何だ、お前ら〜っ!?」
びっくりして
「えへへ、それはですね」
と、笑う芳佳。
「じゃ〜ん」
リーネがティーセットとお
「こういう訳です」
「いや、訳分かんないだろ!?」
さっぱり理解不可能のエイラは目を丸くする。
「つまりさ」
と、シャーリー。
「サーニャって、夜間
「すでに、サーニャがこの部屋で眠ることはリサーチ済みだ」
その隣では、
「あたしのアイデア〜、あたしのアイデア〜」
と、自分を指さすルッキーニ。
(そ〜か! 余計なことを言い出したのはその口か〜っ!)
と、ルッキーニの口に指を
「さあ、これからサーニャちゃんのための、夜明けのティー・パーティーです」
テーブルの上にカップを並べ、リーネは紅茶を
お菓子はスコーンにアップルパイ、ジンジャー・クッキーにパンプキン・プディングだ。
「あのな、サーニャはもう……」
寝ている、と言おうとした、ちょうどその時。
「……ん?」
タイミング良くか悪くか、サーニャが目を
「夜間哨戒ごくろうさま、サーニャちゃん」
芳佳がサーニャの手を
「さあ、みんなでお茶しよう」
「……う、うん」
サーニャの
(宮藤〜っ! お前、サ、サーニャの手を、そんな
割って入りたくなるのを、必死で
「宮藤さん、くれぐれも、その下品な
紅茶のカップを前に、ひとこと注意するペリーヌ。
「むうっ! 今は音を立ててません! 最初の時だけじゃないですか〜」
「おほほほほ、そうでしたかしら?」
「ていうか、どうして私のカップだけ、こんな変な形なんです!?」
芳佳の前に置かれたカップは、ペリーヌが特別に用意したもの。
カップというよりは皿、それも、犬の
「あらあら、
よく見ると、皿の側面には『豆狸用』の文字が。
それもわざわざ扶桑語で。
「よくそんなの探してきたな」
感心半分、
「特注ですわ、特注!」
ペリーヌは、無い胸を張った。
一方、ルッキーニは勝手に
「どっちがおっきいかな〜?」
と比べ、キシシッと笑う。
……もちろん、水晶球の完敗だ。
「やれやれ、ここは
山ほどあったパイが消えてゆく様は、圧巻だ。
一人だけ静かだったのは、ハルトマン。
「くか〜」
TPOを選ばないマイペースのハルトマンは、
リーネが作っている
こうして、みんな──睡眠中の約一名を除く──がわいわいと
「……た、楽しいか、サーニャ?」
ベッドに二人並んで座ったエイラは、やや
「……うん」
サーニャはコックリと
(ま、いっか)
サーニャが満足なら。
「これが仲間、なんだな」
「……にしても、さすがに……眠……い……な……」
エイラの
そして。
「……みなさん、お静かに」
ペリーヌがエイラの立てる
「寝ちゃったんですね」
芳佳はエイラの寝顔を
「しっかし、いっつもこんな寝相なのか?」
カップを持ったままサーニャに寄りかかり、まるでテディベアのような格好で眠るエイラ。
その姿を見て、シャーリーは
「
「そうでも……ないです」
「いい子だねえ〜、さーにゃんは」
ルッキーニがギュッとサーニャを
「胸、ペリーヌよりはあるし」
「
「こういうの、またどんどんやろうね! あたし、さーにゃんともっとお話したいから!」
「……うん」
カップを両手で包むように持ったサーニャは、頰を染めてルッキーニに頷く。
その
「むにゃむにゃ……ニシシシ……」
エイラが無防備に表情を
オーロラの七色のヴェールの間を、サーニャと一緒に飛ぶ夢だった。
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