インターミッション - お眠さん パートⅡ


「予期せぬじや者……現れる、か」


 明け方近く、つかれなかったエイラは、ベッドの上にタロットカードを並べていた。


「予想外のネウロイのしゆうげき? それとも……」


 エイラの頭に、ふと、芳佳の能天気ながおかぶ。

 最近、芳佳はサーニャのお気に入り。

 それが、今までずっとサーニャのめんどうを見てきたという自負があるエイラには、ちょっとおもしろくない。


「でも、あいつ、いいやつなんだよな〜」


 となると一体?

 と、エイラが考え込んだその時。

 カチャ。

 とびらが静かに開いて、夜間しようかいけのサーニャが、ふら〜っと部屋に入ってきた。


「ひっ!」


 これか!

 と、一瞬思ってしまったエイラ。

 しかし。


「そうじゃない、そうじゃない! そうじゃないぞ、サーニャ! お前のことを邪魔者だなんて思ってないからなっ!」


 すぐに済まない気持ちになり、エイラはあわててタロットカードを片付け始める。


「こ、こんなもん、全然当たんないって! そう、だいたい予期せぬってのがちがうだろ? サーニャが寝ぼけて部屋を間違えんのは、いつものことだし……って、何言ってんだ、私は〜っ!」


 必死に言いつくろうエイラの隣を通り過ぎ、サーニャはいつものように服をぎ捨て、ベッドにたおれ込む。


「……………分かってんだ」


 エイラはため息をつくと、手にしていたカードをほうり出した。


「分かってんだよ〜! 寝ぼけてるって! 言い訳したって、聞こえてないし!」


 ひとしきりさわいだ後に、覚えるむなしさ。


「……はあ。寝よ」


 エイラは服を拾ってきれいにたたみ、サーニャのぞうを整えてやると、そのわきにすべり込んだ。

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