インターミッション - お眠さん


「ふわ〜」


 海をわたる風が優しい夜明けごろ

 フリーガーハマーをかついだサーニャが夜間しようかい任務を終え、基地に帰ってゆく。

 ほかの隊員はまだじゆくすい中。

 目を覚ましているのは、朝練中の坂本ぐらいのものだ。

 もちろん、エイラ・イルマタル・ユーティライネンもまだベッドの中だった。


 他のウィッチたちの部屋とエイラの部屋は、ほんの少しおもむきが異なる。

 不気味な顔の像や、あやしい本が並んだほんだな

 すいしよう球やすいばん

 占いの道具というより、使用目的はくろじゆつではないかと疑われる品々が、そこかしこに見られる。

 そのうえ、ゆかにもほうじんえがかれており、まるでかい映画に登場するゆうれい屋敷の一室のようだ。

 今、そのエイラの禁断の部屋のとびらが、静かに開かれ、何者かが音もなくしんにゆうしてきた。

 侵入者は、エイラが眠るベッドの前にしのび寄る。

 そして。

 とさっ。

 侵入者は、意外とぞうのいいエイラのとなりたおれ込んだ。


「うわっ! 何なにっ!」


 おどろいて目を覚まし、身体からだを起こすエイラ。


「サーニャ?」


 隣で寝息を立てているのは、下着姿のサーニャだった。


「ったく、なに部屋間違えてんだよ」


 エイラはほっとして、頭を搔く。


「うにゅ〜……す〜……」


 うつせで顔を横に向け、すでに熟睡にサーニャは入っている。


「ちぇ〜、今日だけだかんな」


 エイラはそっとベッドからい出した。

 そして、足元を見ると……。


「……うえ〜」


 サーニャがぎ捨てたものが、乱雑に床をおおっている。


「あ〜」


 チラリとサーニャの方をり返るエイラ。


「ったく、う〜、ほんとに今日だけだかんな」


 そう言いながらも、ひざをつき、として服をたたむエイラだった。

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