第四章 第五話
巨大ネウロイが
「くったびれた〜」
ゴムが
「芳佳ちゃ〜ん!」
と、手を
坂本とシャーリー、ペリーヌも、高度を落としてこちらに向かってくる。
「リーネちゃん! よかった〜!
芳佳もリーネに向かって駆け出そうとして、
「あたたた……、リーネちゃん、
顔を
「うん! 全然平気だよ〜!
むしろ、リーネとしては、芳佳の方が心配だという様子で
「……ほんとに不思議……何なんだろ、芳佳って?」
リーネと抱き合ってきゃあきゃあと喜ぶ芳佳を見つめながら、ルッキーニはつぶやき、
「ん、あいつか?」
ちょうど降りてきた坂本が、ルッキーニの
「うまくは言えないが」
と、前置きしてから、坂本は言った。
「あいつがいざという時に力を見せるのは、約束、だからだろうな」
「約束?」
「その力をたくさんの人を守るために」
「え?」
「それが宮藤博士の
「……約束ねえ? やっぱ、よく分かんないや」
またまた首を
どうやらルッキーニにとって、芳佳は永遠の
と、そこに。
「親分!」
「おやぶ〜ん!」
村の子供たちが手を振って、ルッキーニのまわりに集まってきた。
「さっすが、親分!」
「親分、最高!」
尊敬のまなざしを、ルッキーニに向ける子供たち。
「言ったでしょ、あいつを落とすって?」
ルッキーニは胸を張って、ふと気がついた。
(……そっか。こういうこと)
「あたしも……、約束、守ったんだ」
少女の口元には、いつの間にか
「残念ですよ〜、村のみんなに取〜って置きの、宮藤特製タコ焼きをご
坂本の
「一応、聞きますけれど、それは人間が食べても害がないものなのでしょうね?」
疑いの視線を向けるペリーヌ。
「あ、当たり前ですよ!」
「どうだか?」
「ま、それは次の機会のお楽しみ、だな」
と、坂本が包帯を巻いた腕を軽く回しながら立ち上がったところに。
「どうやら、ロンドンの方も無事に守れたようですな」
オーウェルが頭を
「ええ、おかげさまで」
軽く
「
オーウェルは言った。
「そのわりには、楽しそうな顔をしていらっしゃるが?」
坂本は
「実は、前に無くしたものを、
「無くしたもの?」
「ええ。
オーウェルは自分の胸を指さし、それからカメラを構えた。
「一枚、よろしいですか? ウィッチーズのみなさん、ご一緒に?」
「……構わんでしょう」
坂本はうなずき、みんなを呼び寄せる。
坂本に寄り
リーネと並ぶ芳佳。
そして、シャーリーの胸をつかむルッキーニ。
「はい、笑って!」
パシャリ!
オーウェルはシャッターを押した。
しばらくして、親睦会の後片づけも終わり……。
「芳佳〜」
基地に帰るトラックに乗り込もうとする芳佳の背中に、ルッキーニは声をかけた。
「はい?」
「ありがと」
「えへへ」
芳佳はちょっと
そして……。
* * *
翌日のトリビューン紙の第一面を
『魔女たちの救いしもの』
先日、
だが、このテムズ上空の戦いが注目される一方で、ストライクウィッチーズの別働隊が、名も無き小さな村を救ったことも無視できない。
ロードマップを見ても、その名を見つけることの難しい、小さな寒村。
その
戦略上も重要とは
村を守ったウィッチの半数以上はWエースと比べると未熟な、若い
そうして勝ち得たのだ。
村の人々の
これは、何ものにも代え
魔女たちは、
多くの人々を守るため。
そのために、今日も彼女たちは大空を飛び続けるのだ。
「……名も無き村、は失礼よねえ」
新聞を机に置いたミーナは、クスリと笑った。
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