第四章 第三話


「ちっ! 村に入られる!」


 弾倉をこうかんしながら、シャーリーが舌打ちした。

 小型ネウロイ編隊と村との距離は、あと150mを切っている。


「本体のコアさえかいできれば」


 唇を嚙み締める坂本。

 だが、飛行脚ストライカーがほとんど使えない状態のルッキーニは、なかなか巨大ネウロイに接近することができない。

 と、その時。

 二つの気球が、ネウロイのしんこうはばむように空に上がった。


さい気球? この村にも配備されていたのか!?」


 村外れのから上がった気球を見て、坂本はきようがくする。

 だが。


「あ、あれは……?」


 ポカンと口を開けるペリーヌ。

 よく見ると、軍仕様の阻塞気球ではない。

 それは、しんぼく会のために村人が用意した熱気球で、気球の下にげられているれ幕には、『かんげい ストライクウィッチーズ!』と書いてあった。

 気球の間には、ワイヤーのネットが張られている。

 とつぜん上がってきたそのネットに、先行する小型ネウロイの一機がひっかかり、わずかに動きがにぶる。

 グワンッ!

 編隊が乱れ、後続のネウロイが前の一機に追突した。


「今だ!」


 シャーリーが、先頭の一機に向けて銃弾を放った。

 バーンッ!

 大ばくはつするネウロイ。

 ドウッ!

 ドウッ!

 ドウッ!

 ばくえんが近接するネウロイを巻き込み、さらに爆発を呼ぶ。

 次々とゆうばくしてゆく、小型ネウロイ群。

 誘爆をけようと、きゆうじようしようをかけるネウロイは、ペリーヌのブレン・ガンのじきになる。

 しかし、そのかんげきって、一機が村に迫る。


「させるか!」


 ガッ!

 坂本は体当たりをかけて、自分のフィールドでネウロイをはじき飛ばし、そのまま軍刀をき立てた。

 そして、ネウロイの爆発が、坂本を巻き込む寸前。


しよう!」


 ブンッ!

 ペリーヌは背後から坂本にきつくと、シールドを二重にして爆発から自分たちの身を守った。


「ペリーヌ……?」


「え、えんしろとの……ご命令でしたので」


 坂本の背に額を押し付けるようにして、うつむくペリーヌ。


「ああ、助かった」


 坂本は少し照れくさそうにペリーヌのかみでてやると、残りの小型ネウロイのそうとうに取りかかった。


「芳佳! パンツ引っ張り過ぎ!」


 ルッキーニは、自分を引き上げて飛ぶ芳佳に不平をらしていた。


「そ、そんなこと言ったって!」


 きよだいネウロイのビームが、芳佳の張りめぐらせるフィールドに命中する。


「わっ! ちょっと!」


 ルッキーニはあやうく、M1919A6を落としそうになる。


「芳佳!? だいじよう!?」


「私は平気です! 早くコアを!」


 と、芳佳。


「……! やっぱり遠過ぎ!」


 いつたんは構えたものの、ルッキーニはすぐに照準から目をはなす。


きよめます! フィールドは私に任せて、ルッキーニちゃんはげきだけに魔力を集中して!」


「うん!」


「行きますよーっ!」


 ルッキーニのパンツをつかんだまま、速度を上げてネウロイの上面に向かう芳佳。


「キャアアアアアッ! ぶつか……!」


 思わず目をつぶるルッキーニ。

 だが無論、ぶつかりはしなかった。

 芳佳はげきとつ寸前で体勢を変えると、ネウロイの上部スレスレのところをすべるように飛んでみせたのだ。

 かかえられたルッキーニと、ネウロイの身体組織上部までの距離は30cmもない。


「し、心臓に悪いって」


 と、ルッキーニ。


「このまま、コアに近づきますよ!」


 この角度なら、ビームは当たらない。

 速度をさらに上げる芳佳。

 しかし。

 ギュンッ!

 太さ50cmほどのするどとげが、巨大ネウロイの上部全面にとつじよとして現われた。

 そのうちの一本が、芳佳の右腹部をかすめる。


「くっ!」


 弾かれて、体勢をくずす芳佳とルッキーニ。


「宮藤さん!」


 落下してゆく二人を目にして、ペリーヌが思わず悲鳴をあげた。


「しっかりしなさい、このまめだぬき!」



「ちっ! 村に入られる!」


 弾倉をこうかんしながら、シャーリーが舌打ちした。

 小型ネウロイ編隊と村との距離は、あと150mを切っている。


「本体のコアさえかいできれば」


 唇を嚙み締める坂本。

 だが、飛行脚ストライカーがほとんど使えない状態のルッキーニは、なかなか巨大ネウロイに接近することができない。

 と、その時。

 二つの気球が、ネウロイのしんこうはばむように空に上がった。


さい気球? この村にも配備されていたのか!?」


 村外れのから上がった気球を見て、坂本はきようがくする。

 だが。


「あ、あれは……?」


 ポカンと口を開けるペリーヌ。

 よく見ると、軍仕様の阻塞気球ではない。

 それは、しんぼく会のために村人が用意した熱気球で、気球の下にげられているれ幕には、『かんげい ストライクウィッチーズ!』と書いてあった。

 気球の間には、ワイヤーのネットが張られている。

 とつぜん上がってきたそのネットに、先行する小型ネウロイの一機がひっかかり、わずかに動きがにぶる。

 グワンッ!

 編隊が乱れ、後続のネウロイが前の一機に追突した。


「今だ!」


 シャーリーが、先頭の一機に向けて銃弾を放った。

 バーンッ!

 大ばくはつするネウロイ。

 ドウッ!

 ドウッ!

 ドウッ!

 ばくえんが近接するネウロイを巻き込み、さらに爆発を呼ぶ。

 次々とゆうばくしてゆく、小型ネウロイ群。

 誘爆をけようと、きゆうじようしようをかけるネウロイは、ペリーヌのブレン・ガンのじきになる。

 しかし、そのかんげきって、一機が村に迫る。


「させるか!」


 ガッ!

 坂本は体当たりをかけて、自分のフィールドでネウロイをはじき飛ばし、そのまま軍刀をき立てた。

 そして、ネウロイの爆発が、坂本を巻き込む寸前。


しよう!」


 ブンッ!

 ペリーヌは背後から坂本にきつくと、シールドを二重にして爆発から自分たちの身を守った。


「ペリーヌ……?」


「え、えんしろとの……ご命令でしたので」


 坂本の背に額を押し付けるようにして、うつむくペリーヌ。


「ああ、助かった」


 坂本は少し照れくさそうにペリーヌのかみでてやると、残りの小型ネウロイのそうとうに取りかかった。


「芳佳! パンツ引っ張り過ぎ!」


 ルッキーニは、自分を引き上げて飛ぶ芳佳に不平をらしていた。


「そ、そんなこと言ったって!」


 きよだいネウロイのビームが、芳佳の張りめぐらせるフィールドに命中する。


「わっ! ちょっと!」


 ルッキーニはあやうく、M1919A6を落としそうになる。


「芳佳!? だいじよう!?」


「私は平気です! 早くコアを!」


 と、芳佳。


「……! やっぱり遠過ぎ!」


 いつたんは構えたものの、ルッキーニはすぐに照準から目をはなす。


きよめます! フィールドは私に任せて、ルッキーニちゃんはげきだけに魔力を集中して!」


「うん!」


「行きますよーっ!」


 ルッキーニのパンツをつかんだまま、速度を上げてネウロイの上面に向かう芳佳。


「キャアアアアアッ! ぶつか……!」


 思わず目をつぶるルッキーニ。

 だが無論、ぶつかりはしなかった。

 芳佳はげきとつ寸前で体勢を変えると、ネウロイの上部スレスレのところをすべるように飛んでみせたのだ。

 かかえられたルッキーニと、ネウロイの身体組織上部までの距離は30cmもない。


「し、心臓に悪いって」


 と、ルッキーニ。


「このまま、コアに近づきますよ!」


 この角度なら、ビームは当たらない。

 速度をさらに上げる芳佳。

 しかし。

 ギュンッ!

 太さ50cmほどのするどとげが、巨大ネウロイの上部全面にとつじよとして現われた。

 そのうちの一本が、芳佳の右腹部をかすめる。


「くっ!」


 弾かれて、体勢をくずす芳佳とルッキーニ。


「宮藤さん!」


 落下してゆく二人を目にして、ペリーヌが思わず悲鳴をあげた。


「しっかりしなさい、このまめだぬき!」


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