第三章 親睦会、マンマ・ミーア!
第三章 第一話
待機任務が解けた、のどかな午後。
芳佳とリーネ、シャーリー、ペリーヌ、そしてルッキーニの五人は、
持ち寄ったのは、みんなの手作りのお
芳佳は、
ルッキーニは、
リーネは、
シャーリーは、やや
ペリーヌだけは手作りではなく、お取り寄せの高級マカロンである。
「けど、お前も意外と付き合い、いいよなあ。こういう集まり、
アルミ製のカップに代用コーヒーを
「あら、好きで参加しているわけじゃありませんわよ。
「芳佳〜、お砂糖取って〜」
みんなが白いクロスのかかったテーブルを囲むなか、一人だけ、まるでチェシャ
「は〜い」
と、立ち上がってシュガーポットを
「ねえ、エイラとサーニャは?」
ルッキーニは大量の砂糖をカップに流し込みながら、シャーリーに
「エイラ、サーニャを起こしてから
「……完っ全な夜型だもんね、サーニャって」
「あの〜」
芳佳はルッキーニを見上げた。
「時は、私の部屋の前の
「……
「うん、サーニャ。あの子、意外と料理得意だし」
シャーリーもうなずく。
「どういうことなんでしょ?」
「さ、さあ?」
と、リーネ。
「エイラさんに聞けば、分かるかもしれないけど……」
「あのエイラが、
シャーリーがニッと笑う。
だが。
「単に
ペリーヌがバッサリ。
「ど、毒殺! ていうか、
だが、一同は
「うう〜、みんなまで〜」
芳佳は
本当は、少し
ようやく、みんなと軽口を
もちろん、ミーナ隊長や坂本
それに、芳佳も最近、ウィッチーズのみんなのことがやっと分かってきたところだ。
ミーナ隊長は、歌がすごく
エーリカ・ハルトマン中尉は、見た目と
ゲルトルート・バルクホルン大尉は、
サーニャ・V・リトヴャク中尉は、夜型の低血圧。
エイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉は、当たらないタロット
おおらかで
芳佳のことを豆狸と呼んだペリーヌ・クロステルマン中尉は、本当は
親友のリネット・ビショップは大家族で、芳佳と同じく、料理が趣味。編み物や
坂本美緒少佐は……まあ、あのまんまの人である。
「それにしても……」
ペリーヌは口に手を当てて、上品にアクビをする。
「
「言えてる」
「せめてサーキットとか、欲しいよなあ」
「……そんな
リーネがため息をつく。
「そうだ!
木の枝に
「っ!」
芳佳は
「んぐんぐ……ぶはっ! 親睦会って……どことです?」
「ほら、この近くに小さな村があるでしょ?
「またまた、良からぬことを
冷ややかな目を向けるペリーヌ。
と、そこへ。
「
坂本がミーナとともにやってきて、みんなに声をかけた。
「
「私も賛成です!」
ペリーヌの態度が、コロッと変わる。
「
「……おいおい」
「ネウロイ
うなずいた坂本は、ミーナを
「どうかな、ミーナ?」
「いいんじゃないかしら? 村のみなさんには、いろいろとお世話になっているし」
「誰かさんなぞは、かなり
ペリーヌは
「ほら、あんたのことよ、芳佳」
ルッキーニは枝からヒョイと飛び下りると、ウインクして
「うう」
確かに、この前の飛行訓練では畑に
「人のことが言えるのかな、ルッキーニ?」
と、坂本はからかうように
「お前が村の男の子たちと
「あ、あれは、あっちが〜」
ルッキーニは
「問答無用だ」
これで決まり、という顔になった坂本は、芳佳の草餅を一つつまみ上げて口に
「ルッキーニ、言い出しっぺのお前には是非、親睦会の
「村との細かな
にっこり
「……は〜い」
口は
* * *
その夜。
ブリーフィング・ルームに集合した少女たちは、親睦会の
「……じゃ、ミーナ
ルッキーニは、黒板をバンッと
「残念ながら、ユニットの整備やらなんやらで、バルクホルン
さすがに、基地に一人もウィッチが残っていないのは
「……」
サーニャは
「ほれほれ、
エイラに
「……で、何かやりたいことある人?」
ルッキーニは一同を
「はい! 私はお料理を……」
真っ先に手を挙げる芳佳。
「
「ペリーヌさん、好き
芳佳は唇を尖らせる。
「みんな健康にいいのに〜」
「お
「あううう」
芳佳、立場なしである。
「……まあ、変なもん並べなきゃ、芳佳はそれでいいや。
ルッキーニは言った。
「ううう〜」
芳佳、さらに落ち込む。
「他には?」
「じゃ、じゃあ、私もお料理で」
リーネも手を挙げ、芳佳を見て微笑む。
「……芳佳、リーネはお国料理の屋台、と」
ルッキーニは黒板に書いた。
「他には〜?」
「私は」
こほんと
「ランボーの詩の朗読などを」
「……
「! どうしてですの!?」
「だって、そんなの
「まったく! これだから教養のない人は!」
「ペリーヌは、着ぐるみで風船配りね。決定」
ルッキーニは勝手に決める。
「そんな! 断固
「そう言えば、坂本少佐って、着ぐるみの似合う子が好きだって言ってたのよねえ〜」
と、ルッキーニ。
無論、
「ほ、他にやる人がいないのなら。他ならぬ、親善のためですから」
ペリーヌ、あっさりと引っかかり過ぎである。
「んで、シャーリーは?」
ルッキーニは、シャーリーの顔を見た。
「あたしは……そうだ、ストライカー・ユニットの展示とかするんだろ? それの解説」
「い、意外と地味なところを
眉をひそめるペリーヌ。
「だって、楽そうだもん」
シャーリーはニッと笑った。
「あとは……エイラ?」
ルッキーニは、タロットカードを並べていたエイラに
「私は……秘密だね。
不気味か、不敵か、
「親睦会当日のみんなの運勢は……聞きたい?」
全員が首を横に
エイラのタロット
「じゃあ、今日はこれで解散ね」
ルッキーニは宣言した。
「みんな、気合入れてね!」
「私、材料の仕込みとか、しなくっちゃ!」
自室に向かいながら、リーネは
「私も!
芳佳がリーネの手を
「うん!」
二人は顔を見合わせ、ニッコリと笑った。
* * *
「……あらあら、ここにいたの?」
親睦会準備三日目。
ミーナはウィッチーズ基地内のそこここに作られた秘密基地のひとつ、樹の上に作られた小屋で、
「待機中なのに、仕方ない子ね」
ルッキーニの姿が見えないと
「宮藤さん!
遠くで聞こえるペリーヌの声。
「ルッキーニ……」
ミーナは起こそうと思ったが、
「……頑張っているものね、親睦会の準備。あんなに
「でも、そんなあなたの姿に、私たちは救われることもあるのよ」
そっと毛布をかけてやり、ミーナは秘密基地の
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