18作目も芥川龍之介

『蜘蛛の糸』芥川龍之介 初出「赤い鳥」1918(大正7)年7月

 6P×500字=約3000字

 20161026読了

 21時よりツイキャス朗読、終了


 教科書にも掲載された大変有名な古典である。

 改めて読んでみると、三部構成の内、お釈迦様の登場される一と三は丁寧な言葉遣いで最上級の敬語を用いて書かれているが、カンダタ(漢字が出せずすみません)と地獄の様子を描く二の部分は明らかに印象の異なる言葉運びになっている。

 当時はもちろんそんなことには気づきもしなかった。少しは修行の成果が出ているのかなと、ちょっとほくほくである・笑


 ツイキャスの最後でも少しお話したのだが、この作品を読むと必ず思い出すエピソードがある。遥か昔、予備校に通っていた時代のことだ。当時、小学校の国語のテストで本作品の感想を書く欄に「おしゃかさまがかわいそう」と平仮名で一生懸命に綴った子どもが居たが、それは「正答」とはされなかったそうだ。

 現代国語担当の予備校講師は「そんな教師にはなるなよ」と暗に言い含めた鋭い眼光で私たちに告げたのだった。


 受験が終わってほっとしたことの一つには、確かに、どんな自由な感想も許されるようになったことがあげられる。

 ある程度の読解力を育てることは必要だが、「鑑賞」は人それぞれであり、「感想」も各自の感性に委ねられるべきと今も思う。

 少しばかり人生の先を歩くものとして、これからも後進にその「許容性の大切さ」を伝えていきたいと思っている。

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