15作目は古典回帰

『杜子春』芥川龍之介 初出「赤い鳥」1920(大正9)年7月号

 約一万字弱(500文字×19ページ)

 読了 20161023 音読了(ツイキャス)予定21時より


 教科書にも掲載されていた、子供向けに書かれた作品。

 芥川龍之介は、中国の古典を参考にした作品を多く書いているがその中でも代表的なものだ。


 句読点の位置、単語の選び方、等々、非常に読み易く書き上げてある。

 大人になって改めて読んでみると、なぜ仙人が杜子春を選んでこの体験をさせたのか、と疑問が沸き上がったが、読了後には「誰にも起こり得る」設定であり、人間の愚かさや業、エゴをテーマにしてきた作者ゆえの盛り込み方なのかもしれないと思った。


 本作品に描かれたテーマをどう受け取るかは読者に委ねられている。

 学校(幼少期)ではより道徳的な感想を求められた記憶が残っているが、いまは「人としての幸せに必要なものはなにか」を問われているのであり、その答えもまた人それぞれ、千差万別で良いのだと思える。


 明日以降も引き続き芥川龍之介の短篇を読んでいこうと思う。

 今回の朗読に当たり改めて年表を確認したところ、短篇の名手であり、実は長編を一つも完結させていない(「邪宗門」「路上」は未完)と知った。意外な発見であった。


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