第13作目も文豪の作品

『寒山拾得』 森鴎外 著 1916年(大正5年一月)

 えあ草紙にて http://www.satokazzz.com/books/

 500文字×約13ページ=6500文字程度

 全音読 20161018

 ツイキャス実施 21時より約18分間。 聴きに来て下さった方々、ありがとうございました。


 昨日までの漱石と同時代の作品だが、この作品の方が遥かに読み易かった。唐代が舞台ゆえ人名は漢語調だが、それ以外の言葉は非常に分かり易く、捻った表現も少ない。

 森鴎外の最晩年の歴史小説とのことだが、歴を遡って初期の作品から読んでみようと思う。


 なお、本作品を選んだのは、明治の文豪の作品を昨夜から読み続けたことでかなり言い回しに慣れてきたのでその利点を生かしたかったこと、今の時代にも生き残る文豪作品をしっかり味わってみたかったこと、短篇を読みたかった、ためである。


 短篇としての構成については、ひとつ疑問が残る。明治時代のインテリ層であればOKだと思うが、現代人がこれを読んで意味が分かるかと心配になった。特に最後の部分が「なにがオチなのか?」と頭を捻る人が続出したりしないかと気掛かりだ。

 たまたま本日、別エッセイにも認めた通り、久保田弥代氏が「どこまで詳細に読者に書いて伝えるか、あるいは省略によりどこまでを想像させ読者の中にあるものに委ねるか」という趣旨のことを書かれており、その視点からすると、本作品は完全に後者である。

 そして、委ねられた読者の感性が、本作品の執筆当時の明治時代と大いに異なる現代であった場合、それらはどう消化(昇華)されるのだろうか。


 明日以降も鴎外の作品を読むことで、考えていきたい課題だ。




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