第9作目は文庫SF
『アンジェ―卵から生まれた天使―』 久保田弥代 著 ソノラマ文庫 2003年刊
読了 20160928
音読了 約30分「第三章 夏の日を天使と共に」の内P.148からP.183 20:15
約1万字程度。
*音読箇所は、読了後に最も好きな場面(圭吾とアンジェが夜空の星を観て語り合うところが一番のお気に入りだ♪)を選んだ。
またまた久保田氏の作品を選んだ理由は、「同じ作者のものを年代を追って読む」も大事な修行の一つとアドバイスを頂いたゆえである。もちろん久保田病は言わんやをや(一応、本作品で久保田氏作品からは一旦離れるつもりでいるが)
カクヨムで活動するまでは、ほとんどSFは読んでこなかったので、きっと的外れな感想になるだろうと思うが、これは自分のための備忘録を兼ねているので敢えて記しておきたい。
とても不思議な読後感だった。
Science Fictionという意味ではSFジャンルになるのだと思うが、描かれているのは少年少女の成長と淡い恋心、そして天使と堕天使による世界観(宇宙観)だ。
昨日の作品:『風の涙と愛の花』 久保田弥代 著
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881775414
においても久保田氏は天使と堕天使を登場させており、続けて読むことでこれが氏にとって非常に大きな創作テーマなのかと感じるに至った。
同時に、これはお話の構成とも関わってくるのだが、氏の作品の中で「誰が主人公なのか」について、読み始めと読み終えた後で印象が変わることがある。
本書も、タイトル通りに観れば主人公はアンジェかと思う。しかし、読み初めに私はマリが主人公だと思い込み、途中から圭吾に、終盤はアンジェに、そして読了後は……。
昨日の作品でも、主人公は最初はレオナルドだと思ったが、途中でクラリッサなのか?と思い、最後はもしや堕天使なのか? それとも天使なのか? 悩んだ。この作品が最も訴えかけたいことは何か、と考えると様々な解釈が可能なのだ。
久保田氏によれば、敢えて詳細説明を加えずに読者に委ねることに挑戦なさったのだそうだ。とすれば、この作品もそうなのか?(違っていたらすみません)
まだ修行開始して間もない私には、小説の詳細な技巧を拾い上げて論ずることはできないが、少なくとも、読者を信じて、読後を自由に委ねることが出来るというのは、相当の力量がなければ怖くてできないことだと思う。
さて、ここまで毎日音読を続けて来て気付いたのは、久保田氏がしっかりと古典を読み込んだ書き手だということだ。日本語の確固たるリズムを狂わされる箇所がないのだ。
音読すると、句読点の箇所から言葉の選び方・リズムなど、黙読だけでは気付けない点が多々表出する。こんな細部にまで神経を行き渡らせて書くのがプロなのか、と唸るような部分を、素人なりにも少しずつ気付けるようになってきたかと思う。
同時に、私の書いたものをそれ相応の方がちらりとでも御覧になったら、全く修行不足の素人の作だと、瞬く間に見抜かれるのだろう。それくらい、文章には自分の想像を遥かに超えたものが表現されてしまうという恐ろしさに、気付いてしまった。
だから、修行しろと、もっと読めと、アドバイスを下さったのだなあと改めて有り難く思う。
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