第7作目は再び古典‐芥川龍之介

『地獄変』 芥川龍之介 著 


 1.約三分の一読了(1万字強)音読約30分強 20160924 20:45 

 「えあ草子」を利用 http://www.satokazzz.com/books/

 →続きは明日の予定。


 新字旧かな遣い版で読んだが、とにかく、句読点の位置が絶妙で、すらすらと淀みなく読むことが出来た。同作者の別作品でも感じたが、俳諧に親しんだ影響が色濃く出るのだろうか、韻を踏んだ言葉選びと文体とが相俟って、非常に読み易い。


 もう一つ、今回発見したのは、こうした古典的な言い回しの日本語を私自身がとても好きだということだ。読んでいて心地よい。そう言えば昔、小学校の国語の教科書に芥川龍之介の作品が出てきた折に、気に入って暗記するほどであったのを思い出した。やはり文体の好き嫌いはそのあたりからもうあったのだろう。


 お話の流れや構成については、少し回りくどく感じるところも正直なところあったのだが、ぴしっと論理性を見せながらも愛敬のある猿や娘御を登場させてほろりと情を動かされる場面も盛り込まれ、飽きさせない。

 文章の流れにも隙がない。緻密だ。しかし、それでいて息苦しさは全くない。これが、文豪たる所以なのだろう。


 本作を選んだのは、古典好きという己の好みを優先したことと、もう一つは、これだ。

『風の涙と愛の花』 久保田弥代 著

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054881775414


 概要の説明末尾に

「※)作中作『地獄門』は、芥川龍之介『地獄変』をモチーフにしたものです」とあり、ならばまずは先にこちらを読んでからと思ったのだ。


 久保田氏が古典的文体での執筆に挑戦された旧作とのこと。

 地獄変の次はこれが待っている。いまから楽しみである。


 なお、本作の音読の続きを明日、下記に加筆して本書を読了したいと思う。


 ―――――――

 2.約三分の二まで音読了 約28分 20160925 21:30


 昨夜、半分まで読めたと思っていたら、三分の一だったので訂正した。


 本日の音読部分は、画師の良秀が大殿様に地獄絵(の屏風)を描けと命じられてから、徐々に狂気に走っていく様が描かれている。

 薄気味悪い様子が淡々と語られていくのだが、言葉の調子が巧みで読み易いため、怖がりな私でもなんとか読み進めることが出来た。しかし明日は……大丈夫だろうか?笑


 語り口調で書かれた本作品は、小説ではあるが、音読しているとまるで講談を聞いているようだ。目で文字を追いながら読むだけの時と、耳からも入って来て想像力を刺激されるのとでは、お話の膨らみ方が違う。

 だが恐らく今回それが起きたのは芥川龍之介の文章だからであって、誰の文章でもそうなるかと言えば、分からない。


 翻ってみると、これまで日本語の響きとリズムを考慮して文章を書くことはあまり無かった。正直なところ、それほど意識してこなかった。自作の推敲を重ねる際も、黙読が主で音読はアップ直前に一度だけ、がほとんどだ。

 良いものを書けるようになるには音読が不可欠、とのアドバイスは、頭では分かっていてもなかなか実践のハードルは高い。

 今回、こうして毎日最低30分程度の音読に挑戦することで、そのハードルを低くしていけたらと思う。


 さて、明日は読了の予定だ。連載の更新もあるので慌ただしくなりそうだが、必ずやり遂げたいと思う。

 兎にも角にもここまで毎日欠かすことなく続けることが出来たのは、応援ボタンを押してくれた方、☆やレビューを下さった方の御蔭です。有難うございますm(__)m


 ――――――

 3.全音読完了 約28分 約1万字弱 20160926 19:40


 地獄絵を完成させたいが為に、牛車を焼いて見せて欲しいと大殿様に申し出た良秀、それを受けた大殿様。その牛車に火を放つ寸前、中に居たのは良秀の溺愛する愛娘。だが無情にも火は全てを舐めつくし、誰も娘を助けようとはしない。

 そして出来上がった地獄絵の屏風は、見たものを絶句させるほどの出来栄えであったが、大殿様に奉納した後、良秀は自ら命を絶つ。


 淡々と語られる情景を思い浮かべながら、ヒタヒタと押し寄せる恐怖感と不気味な気配に音読をストップさせたくなる箇所が数か所あった。それでも、文豪の筆運びの巧みさは先へ先へと誘ってくれる。


 本作品をどう解釈するか。芸術至上主義と観るか、人間の業と観るか、はたまた親子や生き物(猿)との絆を観るか。様々に思うところあるが、しばらく余韻を楽しもうと思う。


 全音読了してみて、兎に角、言い回しと句読点の配置が絶妙だったと感じた。頭の中で意味上で決めた個所なのではなく、実際に口に出して音も確認する読み方をしながら配分していったのではないだろうか。


 また、構成に関しても、少し遠回りをするような感もありながら、最後のクライマックスに向けてすべてが集約される点はやはり素晴らしい、文豪ゆえと感じ入った。


 さて、これで準備は整った。明日は上述の久保田氏の作品を楽しみたいと思う。


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