手術と経過
1週間休みの嬉しい日。
皆それぞれに里帰りしたり、遊びに行ったりしていた。
僕はといえば、病院に行って手術に備えた。
ケルシーと手を繋いで、少しだけ緊張感を和らげる。
1時間後、麻酔で眠らされて手術室に。
気づいた時には、病室の白い天井が見えて。
ゆっくり首を横に動かせば、隣のベットでまだ麻酔が効いているケルシー。
ゆっくりと手を伸ばし、小さなケルシーの手をふわりと握りしめた。
10分程して、ケルシーがゆっくりと目を開いた。
ゆっくりと首を動かして…僕が居た事に激しくびっくりしていた。
そりゃそうだろう、逆の立場だったら僕だってびっくりするよ。
ケルシーは酸素吸入器をゆっくりと外し、ふわりと笑った。
そして、ゆっくりと話し始めた。
「…私、腎臓動いて…普通に、暮らせるんだよね…?」
「…実感、まだわかないや…」
ポロポロと涙を流すケルシーを、僕は笑って頭を優しく撫でた。
「…腎臓が一つになったし、身体には気をつけなきゃね、お互いに」
僕がそう言って笑えば、ケルシーはまた泣き出してしまった。
「…っ、そうだ、私、ジェイソンの…腎臓、を…」
わんわん泣き出し、お腹が結構動いたからだろう、泣きながら痛みに軽く呻いていた。
僕にはケルシーの頭を撫でることしか出来なかったけど…ね。
6日後、僕は一足先に退院することになった。
ケルシーは手術から1ヶ月は様子見になる為、もうしばらくは退院出来ないとのこと。
退院してからも毎日のようにケルシーに会いにいった。
会いに行く度に元気になっていくケルシーは、普通の生活が出来るようになることにイキイキとしていた。
そして、1ヶ月。
僕が夕暮れのバスケの帰り道をトロイ、チャド、ジークと帰っていた時だった。
学校の近辺をうろうろしてる女の子がいた。
「…ケルシー?」
僕が立ち止まって声をかけると、ケルシーはびっくりして、嬉しそうに駆け寄ってきた。
「ジェイソン、今帰りなの?」
ケルシーの私服や立ち姿は始めてみる。
小柄でメガネをかけた、華奢だけど細過ぎない、愛らしい姿だった。
服装は帽子にズボンを履いた、少しボーイッシュな出で立ちで。
ケルシーはとても魅力的な女性だった。
「うん、バスケ終わって帰ってたとこ…ケルシーは何してたの?」
「わ、私は…その…散歩して、たの」
ケルシーは恥ずかしそうに俯いた。
「なぁジェイソン、知り合いか?」
僕の肩に腕を回しながら尋ねてくるチャド。
「うん、骨折って検査入院してた時に…意気投合したんだよ」
僕が笑うと、チャドは「へー」って顔で。
「僕はトロイ!端のデカいのがジーク、ジェイソンの右隣がチャドっていうんだ…ジェイソンのバスケ仲間で親友なんだ…よろしく!」
トロイが笑って自己紹介すれば、ケルシーは顔を赤くしながら頭を下げた。
「ジェイソンの彼女だな!」
とかジークが言ったから、ケルシーは更に顔が真っ赤になって。
トロイが僕に彼女を送ってあげなよ!っていってくれたから、お言葉に甘えてケルシーを送ることにした。
ケルシーは、自分は凄く内気で恥ずかしがり屋なの、って笑って。
少しずつ歩いて体力をつけつつ、家や学校を探すのだそうだ。
探すまでの間、僕の家(一人暮らしで部屋がキッチンやリビング以外に2つあって1つ空いてたから)をシェアすることになった。
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