5.そして馬車は動き出した④

 魔女は。

 ずっと。

 二百年以上前から。

 生きていた。

 もちろん愛したことも、愛されたことだってある。

 けれど彼女はいつも気まぐれだった。

 プライドが高く。

 他者と馴れ合わず。

 今王妃として生きていてもそれは変わらない。煩わしくなったら消えればいいのだ。

 彼女は、まったく、魔女そのものだった。

 魔女とは、彼女のような者のことを言うのだ。

 それはもう既に人ではない。

 享楽的な異能者。

 それが魔女なのだ。

 悪でも善でもなく。

 ただ、魔女なのだ。


 舞踏会は、三日後にせまっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

姫君達の晩餐 食前酒は赤い森で/山咲黒 ビーズログ文庫 @bslog

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ