4.こんな展開は予想してない②

 鳥代は馬車に乗っていた。

 どんなに急いでも、王都までは馬車だと二日かかる。出発したのは夜中だったが、夜明けには自分の領地を出る予定だった。

 じっとなどしていられなかった。

 怒りが。

 彼を支配していた。

 たとえ。

 何者であろうとも。

 彼女に強要をする者はすべて殺してもいい。

 その矜持を曲げるものは存在する意味もない。

 そう思う。

 本気で。

 二年前のあの時から、鳥代はどうしたらいいかわからなかった。

 珀蓮は、あの王宮を出ることを望んでいない。

 ではどうすればいい?

 攫えばいいのか。

 無理だ。

 そんなことを、あの女が許すはずがない。

 屈辱を受けたと言って怒るだろう。

 目に見えている。

 愛しているだけではどうにもならない。

 鳥代はそれを理解した。

 答えが出ないまま、会いになどいけなかった。

 もどかしい感情をもてあまして、いろいろな女と遊んだ。

 でもその誰も、あの女のように峻烈で、誇り高く、美しくはなかった。

 失うわけにはいかないのだ。

 なんとしてでも。

「面目ないね」

 ただ、一人の女を狂ったように求めている。

「女好きの名が泣く」

 笑って、鳥代は目を瞑った。

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