ツナ缶
「……」
「……」
俺が歩くと俺を殺しかけたその人が歩き、俺が止まるとその人が止まる。まるで犬みたいに、行き場のない捨て犬のように。だけど欠伸をする所や月を見る目はまるで猫のようだ。男なのか女なのかも分からない中性的な顔、起伏の少ない体。だけど俺に「あなたは私を殺してくれる?」って聞いてきたときに私、と言っていたと言うことは女なのだろう。
そう考えているうちにいつの間にか家の前に着いた。
俺は鍵を開け家に入った。しかしその人は何故か入ろうとしなかった。
「……殺してあげるから入ったら?」
俺はしばらく考えた後にそう言葉を発した。
そうするとその人は家に入った。
「何か食べたいものある?」
俺がそう聞くとその人はあるものを指さした。
俺がそれを見るとそれはツナ缶だった。
「それでいいの?」
その人は頷いた。
俺は少し考え後にツナ缶と暖かい白米をその人に出した。
「いただきます……」
その人はそういって白米とツナ缶を食べ始めた。
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