忘れられないおまもり

 こいしと少年の出会いは、少年と曾祖父との別れとほとんど等しい。


 あの盆の日も少年と曾祖父は日課の散歩の最中で、川原の石を積んで遊んでいた。

 曾祖父は学校の様子をきいてきたが、友達の話になると少年は急に黙ってしまった。

 クラス替え後の新学年では、友達ができなかったのである。



「りゅうた、おくりもん渡しちゃる」


 曾祖父は足下にある石ころのなかから、少年の手におさまりそうな大きさで、きれいなものを見つけだし、それを差しだした。


「ともがきがの、ええともがきができるおまもりじゃ。ひゃくにんせんにんできるもんじゃあねえけどもな、ずうっと忘れらんねえひとりは、できる」


 少年は、黒ずんでしわくしゃの手からそれを受けとった。



 曾祖父は少年が帰宅して間もなく亡くなった。

 以前から肝臓が悪かったのだが、それが急に悪化したのだ。

 少年にはとても信じられず、間違っていると思った。



 曾祖父からもらった小石が喋りだしたのはそのころであった。

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