第12話 地下から地上へ
「………」
黙々とシオンの服を葉っぱで編む。
頬についた小さいモミジがヒリヒリする。
シオンは少し離れた所で体を葉っぱで隠し頬を膨らましている。
「パパはエッチなの!ずっとシオンの裸見てたの!しかんでりょーじょくされたの!」
「だからごめんって…てか人聞きの悪い事を言わないでください。それにシオンだって俺の裸を見てたろ?」
「パパとシオンじゃせーしんに受けるだめーじの大きさが違うの!……それにパパのはなんか誇らしげだったの…」
プクっと頬を頬を膨らまして怒る。がプシュっと空気が抜け両頬を抑えて赤面しながらクネクネする。
「誇らしげってどこの……いや何も言うまい」
ダンシングフラワーと化したシオンを放置し葉っぱを編む。
「よしっと…こんなもんだろ。おーいシオン、クネクネしてないでこれを着てみてくれ」
「できたの?着せて欲しいの!」
「いいのか?裸になってもらわないと着せられないぞ?」
「ダメなの!目をつぶって着せて欲しいの!」
「ごめんソレ超難度っスわ…着方を教えるから自分で着てみてよ」
「ブー…分かったの。教えてなの!」
丁寧に着方を教え後ろを向く。え?俺?まわし一丁ですよ?
「パパ!着れたの!こっち見ていいの!」
シオンの許可が降りたのでそちらを向く。
「おぉー可愛いじゃん!似合うよシオン!」
チューブトップブラ風に編まれた葉っぱを付け同じく葉っぱで編まれたティンカーベルみたいなスカートを身に纏うシオン。
「大きさは大丈夫かい?」
「ちょっと胸の所が緩いのー」
シオンの背中に周り緩さを調整する。
「オッケ!ほらシオンもう大丈夫だぞ」
「ありがとうなのパパ!大好きなの!」
飛び込んできたシオンを受け止め頭を撫でる。
「さてと…何時までも此処にいる訳にはいかないな。そろそろ行くか?シオンは…」
「もちろんパパについていくの!」
「だよな。よし、んじゃ行くか!」
「しゅっぱつなのー!」
シオンのかけ声で立ち上がる。
「あ、そういやまだ確かめてない扉があったな」
下に降りて来てからのドタバタですっかり忘れてた6時方向にある扉。
「ついでだし行ってみるか…」
シオンの手を引き扉の前に行く。
「シオン、ちょっと待ってな?」
シオンの手を離し両手で扉を手にかける。
「うぉらっ!」
全力で引くとさほど抵抗なく開いた。
「どわっ!」
意外な程あっけなく開いたドアに面食らい後ろに転がる。
「プププ!パパドジなの!コロコロってしたのー!」
笑うシオンに笑い返しシオンと手を繋ぐ。
「さぁ行くか~」
「お~なの~」
2人で部屋に入るとそこには祭壇があった。
「祭壇?反対側の部屋にあったやつよりかなり手が凝ってるな…」
「スゴイのーそーだいなの!」
反対側の祭壇は部屋の中心にポツンとあったがこちらのは見上げる程大きく壁に寄り添うように設置されている。所々に施されている装飾も手間が掛かる様な複雑なものだ。
「はー…すげぇなこれ工賃幾らかかるんだ?」
「こーちん?そんな事より早くいくの!」
夢のない事を言ってたらシオンに手を惹かれ歩き出す。
ボッ!
そんな音と共に祭壇に青い火が灯った。
「え?なんで火が?人感センサーでも付いてるのか?」
文明レベル低いとか言ってなかったっけ?結構ハイテクだぞ?
ギィ……バタン
扉が閉まった。
「え?あれ?なんで締まったんだ?…………は?開かないぞオイ!」
オートロックとかふざけんな!やっぱりハイテクだろ!
「……パパ、シオン怖いの…」
「シオンこっちに来い。俺から離れるなよ?」
「…うんなの」
しっかりとシオンを抱え祭壇に向かい歩き出す。
『……か……の…………てくだ……い…』
そんな声が響いた。
「え?」
驚き祭壇を見上げる。
「パパ!じめんが光ってるの!」
シオンの驚いた言葉で意識を戻され足元をみる。
「くっ!シオンっ!」
「パパァっ!」
ギュッとシオンを抱きしめ目を瞑る。
瞼の裏でも感じられる強い光が発せられた。
……
………
………………
「………………………っ!」
シオンを抱いている温もりが何時までも消えないのに安堵しそっと目を開ける。
「…………ぁ」
声が震えた。
「……………パパ?」
シオンの声が聞こえたが答えられない。
「…ぁ……とだ……そと…だ」
「パパ?」
「ぁあ……外だ……外だぞシオン!!」
そう開けた目に飛び込んで来たのは陽がさし地面には草が生い茂り、空は青く鳥が飛ぶ…外の世界…陽の当たる世界だった。
「そと…なの?」
「あぁそうだ!外だ!地下のジメジメして薄暗い世界じゃない…太陽の光があって!風が吹いて!沢山の木や草が生えてる世界だ!!」
喜びの余りシオンを掲げクルクル回る。
「ハハッ…ハハハ!!出れた!地下から出れた!」
「ぴゃぁあ~!パ……パパ!目が…目がまわるのぉぉお~~!」
シオンが何か叫んでるが気にせずにまわる速度を上げる。
「ハハハハ!やったっやったっ!」
「ぴゃぁ!ぴゃぁぁあ!!……………も~~~!パパァっ!」
ゴスッと頭にシオンの肘鉄が入った。
「……いや……ホントすんませんっス。つい嬉しすぎて……悪気はなかったんス…」
「おこなの!ふらふらするの!」
腕を組んで怒るシオン。正座で謝る俺。
「そんなに嬉しいの?シオンさっきの暗い所も落ち着くの、あ、でもそともぽかぽかして好きなの!」
シオンもよろこんでるみたいでよかった。
「さてと…ここはどこだろう?」
辺りを見渡す
「なんかストーンヘンジみたいだな…」
古びた柱でぐるっと囲まれていた。
「パパ!早く行こうなの!ぼうけんなの!」
ピョンと飛びついたシオンを受け止め肩車する。
「ぴゃぁ!高いの!すごいの!パパ早くすすむのー!」
「よし行くかー。まずは人が住んでる所を見つけよう」
シオンがぱたぱた手を振りながら急かしてくる。
そして俺達はお互いにこれから何をしたいか話し合いながらストーンヘンジを出ていった。
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